~現実空間のネットワーク情報をリアルタイムに仮想空間に再現することで高精度な性能評価が可能に~
2024-11-20 株式会社NTTドコモ
株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)は、日本電信電話株式会社(以下、NTT)、エリクソンと進めている第6世代移動通信方式(以下、6G)に向けた実証実験※1において、実在する都市をデジタルツイン技術を用いて再現し、仮想空間上で通信速度などの評価を行う実証実験(以下、デジタルトライアル)を国内で初めて実施し、さまざまなシーンに応じて通信性能をリアルタイムに評価・可視化することに成功しました。
デジタルトライアルは、6G時代に想定される膨大なデータニーズに対応すべく、最適な通信品質をめざし取り組みを進めるもので、エリクソンが開発するデジタルツイン技術を用い、実在する都市をデジタルツイン上で再現して行う国内初の取り組みとなります。
具体的には、6Gの実証実験で使用する実際の基地局の一部を用いて、信号の送信処理と受信処理をリアルタイムに行いつつ、デジタルツインで再現された仮想空間上の都市における基地局と携帯端末間の電波伝搬チャネルをリアルタイムに計算し、送信信号から受信信号を生成します。これにより、6Gの実装置と仮想空間を組み合わせた通信性能評価が可能となります。
仮想空間上に建物や道路のデータベースなどを用いて都市を再現し、都市内にいる携帯端末を持ったアバターを動かすことで、実際(現実空間)の場所で検証を行うことなしに、仮想空間上でリアルタイムに無線性能の評価・可視化をすることができます。今回は、エリクソンの本社があるスウェーデンの街並みを仮想空間上に再現し、通信速度を測定することでデジタルトライアルにおけるデジタルツイン技術の有効性を確認しました。デジタルツイン技術の活用により、将来的には通信性能を仮想空間上で高精度に再現し、さらに、未来予測を行うことにより6Gの性能を最大化することでお客さまの体感品質の向上が期待できます。
<図 エリクソンとのデジタルツインを活用した6G無線技術の実証実験>
ドコモは、2022年6月から国内外の主要ベンダー、海外オペレーター全7社と6Gの実現に向けた新たな無線技術の創出をめざし、6Gのさまざまな周波数帯を想定した実証実験※1※2※3を実施しています。今後もさらにパートナーを拡大し、各社の強みを活かしたさまざまな取り組みを推進し、世界的な6Gの標準化や実用化に向けた検討に貢献してまいります。
なお、今回の実証実験の成果の一部は、2024年11月25日から29日に開催されるNTT R&D FORUM 2024 ―IOWN INTEGRAL※4で展示予定です。
※1 報道発表:国内外の主要ベンダーと6Gの実証実験の協力体制を拡大 -新たにEricsson、キーサイト・テクノロジーとの実験協力に合意-
<https://www.docomo.ne.jp/info/news_release/2023/02/27_01.html
※2 報道発表:国内外の主要ベンダーと6Gの実証実験で協力 -「5G Evolution & 6G powered by IOWN」の実用化に向けた研究開発において世界をけん引- https://www.docomo.ne.jp/info/news_release/2022/06/06_00.html
※3 報道発表:6G実現に向け新たにSKテレコム、ローデ&シュワルツと実証実験の協力に合意 -Nokia、富士通、キーサイト・テクノロジーと取り組みを進める実証実験成果も確認- https://www.docomo.ne.jp/info/news_release/2024/02/22_00.html
※4 「NTT R&D FORUM 2024 ―IOWN INTEGRAL」公式サイトhttps://www.rd.ntt/forum/2024/
別紙 デジタルトライアルの概要
1. 実施目的
ドコモは2022年6月から国内外の主要ベンダー、海外オペレーター全7社と6Gの実現に向けた新たな無線技術の創出をめざし、6Gのさまざまな周波数帯を想定した実証実験を実施しています。エリクソンとは7-15GHz帯や100GHz帯を想定した高周波数帯での取り組みを進めてきましたが、今回のデジタルトライアルでは、自動運転などの6G時代に想定される膨大なデータニーズに対応すべく、最適な通信品質をめざし取り組みを進めるもので、エリクソンが開発するデジタルツイン技術を用い、実在する都市をデジタルツイン上で再現して行う国内初の取り組みとして行いました。
2. 実施概要
ドコモ、NTT、エリクソンの3社は、エリクソンが開発したデジタルツインの実験環境を用いてデジタルトライアルの実証実験を国内で初めて実施しました。デジタルトライアルは、将来、実証実験で使用する実験装置の一部であるベースバンド信号処理装置を用いて送信処理と受信処理をリアルタイムに行いつつ、それに加えて、実在する都市をモデリングしたデジタルツインを仮想空間に再現し、その都市における送信機から受信機までの電波伝搬チャネルをリアルタイムに計算し、送信信号から受信信号を実験環境内で生成します。この機能により、実際の実験装置の一部と組み合わせて仮想空間上でデジタルトライアルを実施することができます。建物や道路のデータベースなどを用いて仮想空間で都市を再現することで実際にその場所に行って実証実験を行わなくても、スループットなどの6Gの通信性能をリアルタイムに評価・可視化することができます。
今回、NTTドコモのR&Dセンタに設置した実験環境を用いたデジタルトライアルでは、エリクソンの本社があるスウェーデンのシスタの街並みを仮想空間上に3Dモデルで再現したときの通信性能を評価しました。ユーザ端末を所有しているアバターを仮想空間上で移動させながら、上り回線と下り回線のスループットやビームIDなどの指標をリアルタイムおよび生成されたログデータを実際の地図上にプロットするなどの解析を行い評価しました。今回は、新たな6Gの潜在的な性能を検討することを目的として、サブテラヘルツでのトライアルを実施いたしましたが、今後は、7-15GHzの周波数帯における実証実験の評価に向けて準備を進めるとともに、実際に電波を飛ばして実験装置を用いて実証実験を進めながら、その結果とデジタルトライアルの結果の比較を通して、デジタルトライアルの有効性や課題について明らかにして行く予定です。
<図 評価の例:アバターを歩行させた際のビームスイッチング試験>
報道発表資料に記載された情報は、発表日現在のものです。仕様、サービス内容、お問い合わせ先などの内容は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。