2023-09-28 京都大学
浅田喜久 理学研究科博士後期課程学生、 Sawicki Marcin セント・メアリーズ大学教授らの国際研究チームは、「CAnadian NIRISS Unbiased Cluster Survey」(CANUCS)プロジェクトの観測から、初期宇宙において「赤ちゃん銀河」同士が合体、急成長している現場を発見しました。
宇宙初期において、銀河がどのように成長進化を遂げたのかは未だに分かっていません。特に形成直後の「赤ちゃん銀河」の成長過程を観測的に明らかにすることは、その暗さのために非常に困難でした。今回、2021年12月25日に打ち上げられた最新の宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」(JWST)による観測により、宇宙年齢がわずか約10億歳の初期宇宙において、2つの「赤ちゃん銀河」同士が衝突合体している姿が発見されました。これら2つの「赤ちゃん銀河」は銀河合体により急激に成長していると考えられており、この発見は宇宙初期では銀河同士の衝突合体による成長メカニズムが極めて重要である可能性を示唆しています。
本研究成果は、2023年5月9日に、国際学術誌「Monthly Notices of the Royal Astronomical Society Letters」に掲載されました。
今回発見された「赤ちゃん銀河」同士の合体の様子。
Credit: Marcin Sawicki, Yoshihisa Asada, and the CANUCS collaboration
研究者のコメント
「遠方銀河の観測的研究は、JWSTの登場によりここ一年で過去に類を見ないほどの急速な発展を遂げています。JWSTによる観測データはまさに新時代の幕開けを感じさせる衝撃的なものばかりであり、このような観測プロジェクトに関わる機会が得られたことを大変光栄に思います。今後も更なる発見と成果に期待したいです。」(浅田喜久)