2023-08-02 京都大学
水畑吉行 化学研究所准教授、時任宣博 同特任教授(理事・副学長)、西野龍平 同特定研究員、笹山瑠人 同大学院生(研究当時)は、Rory Waterman 米国・バーモント大学教授と協力し、単原子ゲルマニウムを他の分子に導入可能な有機反応の開発に成功しました。
有機合成において、合成戦略は標的分子をより単純な部分構造に分割することに依存し、その実現性は必要な構成要素の入手可能性に左右されます。原子一つ、すなわち「単原子」は全ての分子において最も単純かつ理想的な構成要素ですが、ほとんどの元素において、合成のために個々の原子を入手することは現実的ではありません。
本研究では、フェニルアニオンのアニオン炭素をゲルマニウムに置き換えた「ゲルマベンゼニルアニオン」の反応性を活用することで、種々の分子に単原子ゲルマニウムを導入可能であることを明らかにしました。
本研究で見いだした手法は、置換基を持たない「裸の」ゲルマニウムを持つ分子群の自在合成を可能にし、ゲルマニウムが関わる様々な機能性材料の開発につながることが期待されます。
本研究成果は、2023年7月28日に、国際学術誌「Nature Communications」にオンライン掲載されました。
ゲルマベンゼニルアニオンを活用した単原子ゲルマニウム導入反応(©株式会社ヤップ)
詳しい研究内容について
単原子ゲルマニウム導入反応の開発-「裸のゲルマニム」を持つ分子群の自在合成に期待-
研究者情報
研究者名:水畑 吉行
研究者名:時任 宣博