2023-02-01 アメリカ合衆国・ローレンスバークレー国立研究所(LBNL)

・ LBNL 開発の「Quick-Release Binder」は、リチウムイオン電池に含まれる高価値な材料の容易・安価
な分離、回収と新電池での再利用を可能にする電池材料。2022 年 9 月に R&D100 Awards を受賞して
いる。
・ リチウムイオン電池は 21 世紀の日常生活に不可欠なものだが、電池を構成するリチウム、ニッケル、
コバルトやグラファイトの供給低減・価格高騰で 2050 年までには資源不足が懸念されている。国際的な
サプライチェーンでの環境保全や公正な労働への配慮が不十分のため、資源の再利用と電池製造プロ
セスの安全性や公平性の強化が早急に必要。
・ バインダーは、電池を構成する電極の活物質を結合させる役割を担う。「Quick-Release Binder」を使
用した電池は、初めての「リサイクルを見込んだ電池設計」で、電池を開封して室温のアルカリ水に浸
し、優しく振って元素を分離して取り出し、空気乾燥後再利用できる。
・ 電池を粉砕・燃焼して金属を分離するエネルギー集約的、高コストで有害物質の管理が必要な現行
のリチウムイオン電池のリサイクル方法とは対照的。
・ 同バインダー材料は、ポリアクリル酸(PAA)とポリエチレンイミン(PEI)の市販の 2 種類のポリマーで構
成され、PEI の正電荷を帯びた窒素原子と PAA の負電荷を帯びた酸素原子の結合で接合する。
・ 水酸化ナトリウム(Na＋OH－)を含んだアルカリ水に浸すと、ナトリウムイオンが結合部位に達し、これ
らのポリマーを分離させる。各ポリマーは溶解し、電極の構成元素を解放する。
・ アノードとカソードに使用でき、最も一般的に使用されている市販の 2 種類のバインダーの 1/10 の価
格。携帯電話の電池から電力系統用のバックアップ電源まで、あらゆるサイズの電池での利用が可能。
現行の電池製造プロセスにもスムーズに導入できる。
・ OnTo Technologies を創設した電池リサイクル開発者の Dr. Steve Sloop と共同で同バインダー材料
の試験と商業化に取り組む。高低両電圧での安定性を実証し、同材料を使用したリチウムイオン電池
のプロトタイプ作製と総括的な性能解析・機能性の提示を予定。
・ 本研究は、米国エネルギー省(DOE) エネルギー効率・再生可能エネルギー局(EERE)と OnTo
Technologies が支援した。
URL: https://newscenter.lbl.gov/2023/02/01/an-easy-new-way-to-recycle-batteries-is-here/

＜NEDO海外技術情報より＞

関連情報

R&D 100 Awards 受賞
Quick-ReleaseTM Binder for Recyclable Batteries
URL: https://www.rdworldonline.com/rd-100-2022-winner/quick-release-binder-for-recyclablebatteries/

Quick-Release™ Binder for Recyclable Batteries