キラルフォノンが磁性体を介さずにスピン流を生成することに成功(Chiral Phonons Create Spin Current Without Needing Magnetic Materials)

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2023-02-13 ノースカロライナ州立大学(NCState)

◆ノースカロライナ州立大学とノースカロライナ大学チャペルヒル校の研究者らは、キラルフォノンを用いて、磁性材料を用いずに、無駄な熱をスピン情報に変換することに成功しました。この発見は、計算機用メモリから電力網まで幅広い用途に使用できる、安価でエネルギー効率の高い新しいクラスのスピントロニクスデバイスにつながる可能性がある。
◆スピントロニクスデバイスは、電荷ではなく電子のスピンを利用して電流を作り出し、データストレージや通信、コンピューティングに利用する電子デバイスである。スピントロニクスデバイスは、熱エネルギーを利用してスピン流を生成するため、廃熱をスピン情報に変換することができ、エネルギー効率が非常に高いことから、有望視されている。しかし、現在のスピン・カロリトロニックデバイスは、電子のスピンを生成・制御するために磁性体を含む必要がある。
◆ノースカロライナ州立大学の物理学准教授で、有機・カーボンエレクトロニクス研究所(ORaCEL)のメンバーであるDali Sun氏と機械・航空宇宙工学准教授でORaCELメンバーのJun Liu氏の両名は、『Nature Materials』に掲載されたこの研究の共同執筆者である。
◆キラルフォノンは、エネルギー源(この場合は熱)によって励起されると円周方向に移動する原子の集団である。フォノンが物質中を移動するとき、フォノンは円運動、すなわち角運動量を物質中に伝播する。角運動量はスピンの源となり、キラリティーはスピンの向きを決定する。
◆研究者達は、熱勾配を利用して系に熱を導入することで、2次元層状有機無機ハイブリッドペロブスカイトにおけるキラルフォノン生成スピン流を実証しています。
◆研究者達は、この研究が、より安価に製造でき、より幅広い用途に使用できるスピントロニクスデバイスにつながることを期待しています。

<関連情報>

キラルフォノン活性化スピンゼーベック効果 Chiral-phonon-activated spin Seebeck effect

Kyunghoon Kim,Eric Vetter,Liang Yan,Cong Yang,Ziqi Wang,Rui Sun,Yu Yang,Andrew H. Comstock,Xiao Li,Jun Zhou,Lifa Zhang,Wei You,Dali Sun & Jun Liu
Nature Materials  Published:13 February 2023
DOI:https://doi.org/10.1038/s41563-023-01473-9

キラルフォノンが磁性体を介さずにスピン流を生成することに成功(Chiral Phonons Create Spin Current Without Needing Magnetic Materials)

Abstract

Utilization of the interaction between spin and heat currents is the central focus of the field of spin caloritronics. Chiral phonons possessing angular momentum arising from the broken symmetry of a non-magnetic material create the potential for generating spin currents at room temperature in response to a thermal gradient, precluding the need for a ferromagnetic contact. Here we show the observation of spin currents generated by chiral phonons in a two-dimensional layered hybrid organic–inorganic perovskite implanted with chiral cations when subjected to a thermal gradient. The generated spin current shows a strong dependence on the chirality of the film and external magnetic fields, of which the coefficient is orders of magnitude larger than that produced by the reported spin Seebeck effect. Our findings indicate the potential of chiral phonons for spin caloritronic applications and offer a new route towards spin generation in the absence of magnetic materials.

1700応用理学一般
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