「1年」の長さが1日に満たない地球型惑星を低温度星のまわりで発見

ad
ad

2021-09-26  国立天文台

アストロバイオロジーセンターと東京大学の研究者を中心とする研究チームは、すばる望遠鏡の近赤外分光器 IRD 等を用いた観測により、公転周期が1日未満の「超短周期惑星」を低温の恒星のまわりで発見し、その内部組成が主に鉄と岩石からなることを明らかにしました。2つの低温度星のまわりで発見された惑星 (TOI-1634b と TOI-1685b) はいずれも地球の約 1.5-2倍のサイズのスーパーアース (注1) に相当し、特に、TOI-1634b はこれまで見つかっている超短周期惑星の中でも最大の半径 (1.8 地球半径) と質量 (10 地球質量) を持つ地球型惑星の1つです。この大きさの惑星は岩石惑星とガス惑星の境界にあり、特に低温度星のまわりでの発見数が少ないため、「1年」が地球の1日の長さに満たない惑星がどのように形成されたかを調査する上で最も貴重な天体が発見されたといえます。

拡大して表示

図1:本研究で発見された地球型惑星の大きさを比べたイメージイラスト。TOI-1685b は地球の 1.5 倍、TOI-1684b は 1.8 倍の直径です。どちらの惑星も太陽よりも温度の低い恒星のまわりにあるため、赤っぽい光に照らされています。(クレジット:自然科学研究機構アストロバイオロジーセンター)


太陽系外惑星 (系外惑星) のうちの1パーセント程度は、公転周期が1日未満の惑星 (超短周期惑星) であることが、観測から明らかにされてきています。超短周期惑星は、外側の軌道で形成されたものが、他の惑星との相互作用などによって、内側の軌道へ移動したのではないかと考えられており、多様な惑星形成を理解する上で、希少かつ重要な天体です。

これまでに観測された超短周期惑星のほとんどは半径が地球の 1.5 倍以下の小型惑星で、内部組成は主に鉄と岩石でできた地球と似た惑星であることが知られています。ただし、このように精査された超短周期惑星の殆どは、太陽に似た恒星 (太陽型星) のまわりでのみ知られており、低温度・小質量の恒星のまわりでの観測例はわずかです。低温度星は、小型の惑星を複数個持つ頻度が高いことが知られているため、超短周期惑星が存在する頻度も高いかもしれません。低温度星のまわりの超短周期惑星の頻度や特徴を詳しく調べることで、超短周期惑星の起源について全般的な理解が進むことが期待されます。

研究チームは、アメリカ航空宇宙局 (NASA) のトランジット系外惑星探査衛星「TESS」で検出されたトランジット惑星候補 (注2) を持つ2つの低温度星 TOI-1634 と TOI-1685 に注目しました。これらの星の質量は太陽の半分程度しかありません。TESS のデータの独自解析と多色同時撮像カメラ MuSCAT シリーズ等 (注3) によるトランジットの追観測を実施した上で、すばる望遠鏡の赤外線分光器 IRD (InfraRed Doppler, 赤外線ドップラー装置) による分光観測を実施しました。IRD は恒星の視線方向の速度 (視線速度) を精密に測定する分光器で、可視光よりも赤外線で明るく見える低温度星の観測に最適化されたユニークな観測装置です。

IRD で観測された視線速度を研究チームが詳しく解析した結果、TOI-1634 と TOI-1685 のまわりを、実際に超短周期惑星がそれぞれ 0.989 日 (TOI-1634b) と 0.669 日 (TOI-1685b) の周期で公転していることが確認されました。さらに視線速度変化の振幅から、TOI-1634b と TOI-1685b が、それぞれ地球の約 10 倍と約 3.4 倍の質量を持つことが明らかになりました (注4)。この惑星質量と、トランジット観測から求められた惑星半径 (TOI-1634b が約 1.8 地球半径、TOI-1685b が約 1.5 地球半径) をもとに惑星の組成を理論的に推定したところ、どちらの惑星も地球と同様に主に鉄と岩石を中心とした内部組成を持つことが分かりました (図2)。低温度・小質量の恒星のすぐそばを地球に似た組成を持つスーパーアースが公転する惑星系が2つ発見されたことになります。

拡大して表示

「1年」の長さが1日に満たない地球型惑星を低温度星のまわりで発見 図2

図2:これまでに見つかっている系外惑星のうち、3地球半径以下の惑星の、質量と半径の分布。従来知られていた超短周期惑星は青または紫、今回新たに発見された2つの超短周期惑星は赤で示されています (青は太陽型星まわり、紫は低温の M型矮星まわりの超短周期惑星)。灰色の点は公転周期1日以上の惑星です。理論計算による惑星の内部組成ごとの質量と半径の関係が異なる色の曲線で示されていて、図示されている超短周期惑星はいずれも地球の組成 (質量比で岩石 67.5 パーセント、鉄 32.5 パーセント) とほぼ一致していることが分かります。一方、図の右上に分布する半径の大きな惑星 (灰色) は、木星や海王星のように外側に水素大気を持つモデルで説明することが可能です。 (クレジット:アストロバイオロジーセンター)

タイトルとURLをコピーしました