原子膜半導体のスピン機能開拓に前進

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原子膜半導体MoS2中のスピン情報を取り出す際の障壁高さを1/10に低減

2021-02-09 京都大学

Sachin Gupta 工学研究科特定助教、白石誠司 同教授らの研究グループは、宮田耕充 東京都立大学大学准教授らと共同で、次世代半導体材料の有力な候補物質である原子膜半導体である遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)の1つ、二硫化モリブデン(MoS2)中に内在するスピン情報を取り出す際の障壁高さを1/10に低減することに成功しました。

原子膜物質とは原子層一層で構成される究極のナノ物質の総称ですが、特に近年では半導体となる原子膜物質であるTMDに強い関心が集まっており、世界的に激しい研究競争が行われています。白石教授らは近年このTMD中に内在するスピン情報を効率よく取り出すことで低エネルギー消費の演算を実現するための研究を推進していますが、このTMD中のスピン情報を取り出す障害となっていたのが、TMDとスピン情報を計測するために必要な磁石の界面に存在する高い障壁(ショットキー障壁)でした。今回、白石教授らは宮田准教授らと共同で、気相成長法によって作製した品質のよいMoS2上にコバルト(Co)と白金(Pt)からなる多層膜を新たに成長させることで、従来比でこの障壁高さを1/10にすることができました。本成果によってTMD内部のスピン情報を活用する「TMDスピントロニクス」研究が更に加速し、低エネルギー消費演算が実現されることが期待されます。

本研究成果は、2021年2月5日に、国際学術誌「NPG Asia Materials」に掲載されました。

(a)本研究で用いた原子膜半導体である二硫化モリブデン(MoS2)の構造図、(b)本研究で作製した素子の模式図

図:(a)本研究で用いた原子膜半導体である二硫化モリブデン(MoS2)の構造図、(b)本研究で作製した素子の模式図

詳しい研究内容≫

研究者情報
研究者名:Sachin Gupta
研究者名:白石誠司

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