2020-08-20 宇宙航空研究開発機構
宇宙ステーション補給機「こうのとり」9号機(HTV9)は、8月20日(木)午後3時40分(日本時間)に第3回軌道離脱マヌーバを実施し、大気圏に再突入しました。
HTV9は、所期の目的である国際宇宙ステーション(ISS)への物資輸送を完遂しました。
なお、再突入推定時刻及び着水推定時刻は下記のとおりです。
記
再突入※推定時刻
:2020年8月20日(木)午後4時7分頃(日本時間)
着水推定時刻
:2020年8月20日(木)午後4時19分頃~午後4時57分頃(日本時間)
※:高度約120km
参考リンク:本情報につきましては、次のURLでもご覧頂けます。
https://iss.jaxa.jp/htv/mission/htv-9/
理事長談話
宇宙ステーション補給機「こうのとり」9号機(HTV9)のミッション完了について
本日、宇宙ステーション補給機「こうのとり」9号機(HTV9)は軌道離脱を実施し、計画どおり、大気圏に再突入いたしました。「こうのとり」9号機は、2020年5月21日に種子島宇宙センターから打ち上げられ、国際宇宙ステーション(ISS)への結合に成功した後、搭載した補給物資をISSへ移送しました。その後、ISSでの不用品を搭載した上でISSを離脱し、本日の大気圏への再突入を無事完遂することができました。
今回でシリーズ最終号機となった「こうのとり」は、2009年の技術実証機から、日本の物資に限らずISS国際パートナーの物資も輸送し、我が国の責務を果たしながら、大型の実験装置をISSへ輸送できる唯一の宇宙船として、ISSの運用・利用に欠かすことができない重要な役割を担ってまいりました。特に、設計寿命を超えて使用されていたISS旧型バッテリに替わる新型バッテリを6号機から継続して輸送したことにより、今後のISSの安定的な運用に大きく貢献できたものと考えております。
また、JAXAは、「こうのとり」の開発・打上げ・運用を通じて多くの技術や知見を獲得してまいりました。有人宇宙施設に飛行・接近する宇宙機に課せられる厳しい 安全基準を満足するために、JAXAは、宇宙機をISSに対して相対停止させてISSロボットアームで把持する技術 (ランデブ・キャプチャに係る技術)を開発し、「こうのとり」に適用してまいりました。この技術は米国の補給機にも採用され、国際標準となるまでに至ったと考えております。また、7号機での小型回収カプセル、9号機での無線LAN伝送等、「こうのとり」の運用機会を活用した技術実証を通じて、今後の有人宇宙活動の進展に繋がりうる成果も上げてまいりました。
現在、JAXAでは、「こうのとり」の後継機として新型宇宙ステーション補給機「HTV-X」の開発を進めています。これまでに蓄積してきた技術や知見を活かして、輸送能力や運用性を向上させた新しい補給機として、また月周回有人拠点「Gateway」への物資補給等にも活用可能な発展性のある宇宙機として、着実な開発を進めてまいります。
最後に、「こうのとり」の開発・打上げ・運用に対してこれまで多大なご協力、ご支援をいただきました国内外の関係機関の皆様方及び国民の皆様方に心からお礼を申し上げます。引き続き、皆様のご理解及びご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。
2020年(令和2年)8月20日
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
理事長 山川 宏