タンパク質ナノワイヤを使った極めて高感度の新しい化学物質センサー

 (A New, Highly Sensitive Chemical Sensor Uses Protein Nanowires）

2020/5/13 マサチューセッツ大学アマースト校

・ マサチューセッツ大学アマースト校が、ジオバクター属微生物が生成する導電性のタンパク質ナノワイヤを使用したアンモニアガスセンサーを開発。
・ 同大学が 30 年以上前に河川の泥中で発見した同微生物がもつ毛髪のようなタンパク質フィラメントは、栄養分摂取や他の微生物とのコミュニケーションに電荷を輸送するナノスケールのワイヤとして機能する。
・ アンモニアガスは、人間の呼気での検出で疾病の兆候としての利用や、養鶏場での綿密なモニタリングと制御により鶏の健康状態や快適な環境の維持、また飼料の偏りや生産性の損失の回避など、農業や環境、バイオ医薬品において重要な物質。
・ 同新センサーは、センシング感度の低さや制限、他のガスの影響を受けやすい従来の電子センサーを大幅に超える高精度を提供。低コストに加え、生分解性であるため電子機器廃棄物を排出せず、再生可能な原料から微生物がサステナブルに生産し、有毒な化学物質を使用しない。
・ 同タンパク質ナノワイヤの導電性が溶液の pH に反応して変化することがわかっていたことから、バイオセンシングで分子のバインディングへの高い反応性の試験を実施した。
・ 同タンパク質ナノワイヤは、他の化合物に比べアンモニアに高感度で反応し、極めて安定して長期間継続的に機能する。以前の研究では、同タンパク質ナノワイヤのアプリケーションとして、湿気からのエネルギーハーベスティングやバイオロジカルコンピューティングのメムリスタを提案している。
・ 同技術の研究チームによるスタートアップの e-Biologics は、同大学の 2018 Innovation Challengeにおいてそのビジネスプランで優勝を収めた後、特許出願、資金調達とビジネス展開・研究開発計画策定を実施。本研究結果は、ナノワイヤセンサーの最初の概念実証。他の化合物を検出するセンサーの開発に着手する予定。
・ 本研究は、米国立科学財団(NSF)による CAREER グラントと Granduate Research Fellowship、同大学の Office of Technology Commercialization and Ventures と Center for Hierarchical Manufactruring、および NSF の Nanoscale Science and Engineering Center が支援した。
URL: https://www.umass.edu/newsoffice/article/new-highly-sensitive-chemical-sensor-uses

＜NEDO海外技術情報より＞

（関連情報)

Nano Research 掲載論文(アブストラクトのみ：全文は有料）
Bioelectronic protein nanowire sensors for ammonia detection
URL: https://link.springer.com/article/10.1007/s12274-020-2825-6

Abstract