(Microbe “Rewiring” Technique Promises a Boom in Biomanufacturing)
2020/11/10 アメリカ合衆国・ローレンスバークレー国立研究所(LBNL)
・ LBNL が、微生物の代謝プロセスのリワイヤリング(リプログラミング)により有用な化合物を効率的に生成させる、コンピュータ-・モデルと CRISPR ベースのゲノム編集を利用した「product/substrate pairing」技術を開発。
・ 現在のバイオマニュファクチャリングでは、アドホックな試行錯誤的実験を通じて遺伝子改変の可能性を探っている。また、バイオマニュファクチャリングプロセスで非ネイティブの化合物(ホストゲノムに遺伝子を挿入して生成した化合物)を生成するには微生物がある程度の成長段階に達することが必要条件であるため、微生物の培養にエネルギーを浪費する緩慢なプロセスとなる。
・ 新技術では、実験データをベースとしたコンピューター・アルゴリズムの利用により、目的の化合物のより多量の生成にエネルギーを使用するようオフできる遺伝子を「ホスト」微生物で特定する。新規のバイオマニュファクチャリングプロセスの R&D フェーズの飛躍的な加速と、サステナブルな燃料やプラスチック等の最先端のバイオベース製品のより迅速な商業化が期待できる。
・ 同技術により土壌微生物のシュードモナス・プチダに青色色素のインジゴイジンを生成する遺伝子を持たせる試験を実施。63 種類のリワイヤリングパターンについて、好ましいホスト特性結果を体系的に評価するワークフローを利用し、実験上現実的な 1 種類を特定。その後、コンピューターの予測に従い CRISPR 干渉(CRISPRi)で 14 個の遺伝子の発現をブロックすると、大量のインジゴイジンを生成した。
・ 現行の標準的な代謝リワイヤリングでは、一度につき一個の遺伝子を処理しているが、新技術ではパワフルな CRISPRi のアプローチの活用により、同時改変が可能な遺伝子数の上限を大幅に引き上げられる。多量の遺伝子改変を必要とする場合でも変革的なアウトプットを導くことから、バイオマニュファクチャリングでのコンピューターによる最適化手法の利用の可能性が開くと考える。
・ 現在バークレーラボで調査中の化合物は、有望なバイオ燃料であるイソペンテノール、難燃材料の成分やナイロン前駆体のような石油由来の出発分子の代替化合物。最先端の医薬品の製造にもバイオマニュファクチャリングが広く利用されている。
・ 本研究は、米国エネルギー省(DOE)の科学局が支援した。
URL: https://newscenter.lbl.gov/2020/11/10/microbe-rewiring-biomanufacturing/
<NEDO海外技術情報より>
(関連情報)
Nature Communications 掲載論文(フルテキスト)
Genome-scale metabolic rewiring improves titers rates and yields of the non-native product indigoidine at scale
URL: https://www.nature.com/articles/s41467-020-19171-4
Abstract
High titer, rate, yield (TRY), and scalability are challenging metrics to achieve due to trade-offs between carbon use for growth and production. To achieve these metrics, we take the minimal cut set (MCS) approach that predicts metabolic reactions for elimination to couple metabolite production strongly with growth. We compute MCS solution-sets for a non-native product indigoidine, a sustainable pigment, in Pseudomonas putida KT2440, an emerging industrial microbe. From the 63 solution-sets, our omics guided process identifies one experimentally feasible solution requiring 14 simultaneous reaction interventions. We implement a total of 14 genes knockdowns using multiplex-CRISPRi. MCS-based solution shifts production from stationary to exponential phase. We achieve 25.6 g/L, 0.22 g/l/h, and ~50% maximum theoretical yield (0.33 g indigoidine/g glucose). These phenotypes are maintained from batch to fed-batch mode, and across scales (100-ml shake flasks, 250-ml ambr®, and 2-L bioreactors).