2020-09-25 国立天文台
夜空で赤く輝く火星は、地球の一つ外側を公転している惑星です。火星は直径が地球の半分ほどしかなく、地球から遠い位置にあるときには、望遠鏡を使っても表面の様子をなかなか観察することができません。しかし、火星はおよそ2年2カ月ごとに地球に接近し、観察の好機を迎えます。その観望の好機が2020年の秋に訪れます。2020年の秋は、赤く輝く火星に注目しましょう。
今回の火星と地球の最接近は、2020年10月6日に起こります。このときの火星と地球の間の距離は約6207万キロメートル(注1)。最接近の頃の火星はマイナス2.6等の明るさで輝き、視直径(注2)は約22.6秒角です。
2018年の最接近の際には、地球と火星は約5759万キロメートルまで接近するいわゆる「大接近(注3)」となり、大きな話題になりました。2018年の最接近には及ばないものの、今回の最接近時の火星の視直径は20秒角を超え、明るさもマイナス2等を超え、見ごたえは十分です。
「最接近」と聞くと、その日にちや時刻ばかりを気にしてしまいがちです。しかし、火星は2020年9月上旬から11月初旬までマイナス2等以上の明るさを保ち、観察しやすい時期が長く続きます。
(注1) 地心距離で表した距離。地心距離とは地球の中心から対象天体(この場合は火星)の中心までの距離のこと。この解説ページでの「距離」は、全て地心距離を用いている。
(注2) 天体(この場合は火星)の見かけの直径のことで、度・分・秒の角度で表される。月の視直径は約30分角(1度=60分角、1分角=60秒角)。この解説ページでの視直径は、全て地心(地球の中心)からの値を用いている。
(注3) 「大接近」は慣例で用いられる名称で、特に明確な定義はない。