2019-12-18 国立天文台( 2020-05-28更新*Kamuiの表記をKamuyに変更しました。)
日本から命名した太陽系外惑星系の想像図。奥に見える恒星が「カムイ」、手前に見える惑星が「ちゅら」と命名された。(クレジット:国際天文学連合)(この画像は自由にご利用いただけます。ご利用の際はクレジット(国際天文学連合、IAU等)の明記をお願いします) オリジナルサイズ( 2MB)
国際天文学連合(IAU)の創立100周年の記念事業の一つ「太陽系外惑星命名キャンペーン(IAU100 NameExoWorlds)」の最終結果が発表されました。日本に割り当てられた太陽系外惑星系には、恒星に「カムイ(Kamuy)」、惑星に「ちゅら(Chura)」という名前が付けられることが決まりました。*Kamuiの表記をKamuyに変更しました。
国際天文学連合(IAU)は1919年に創立され、現在は世界中の13000人以上の天文学者から成る国際的な学術組織です。2019年の1年間、IAUは創立100年を記念したさまざまな事業を企画・実施してきましたが、そのうちの一大イベントが、この「太陽系外惑星命名キャンペーン(IAU100 NameExoWorlds)」です。世界中の100を超える国と地域がキャンペーンへの参加を表明し、1つの国・地域につき1組の恒星とそれを周回する太陽系外惑星の名称を提案する機会が提供されました。各国・地域から提案された名称はIAUの専門委員会によるさらなる審査を経た上で最終的に決定され、2019年12月17日に発表されました。100余りの太陽系外惑星系には、キャンペーンに参加した国・地域の歴史や文化を体現する多様な名称が付けられ、このキャンペーンの目的である世界中での天文学的知識の普及や、太陽系外惑星への理解と関心が促進されたことを伺うことができます。
日本から名称を提案した系外惑星系の星野写真(クレジット:大西浩次)
日本には、かんむり座の方向にある恒星「HD 145457」とそれを公転する巨大ガス惑星「HD 145457 b」の命名提案が割り当てられました。この太陽系外惑星系は、国立天文台のすばる望遠鏡と岡山天体物理観測所(当時)188cm反射望遠鏡を用いた観測で、2010年に発見されました。この太陽系外惑星系の名称を2019年6月から9月にかけて一般募集したところ、総計696組もの応募がありました。一次選考委員会で30組に絞り込まれた名称から、国内各界の有識者10名から成る特別選考委員会による審査・投票が行われ、そこで最上位を得た名称をIAUに提案しました。そして、IAUの専門委員会の最終審査を経た結果、恒星(主星)に「カムイ(Kamui)」、惑星に「ちゅら(Chura)」という公式の名称が与えられました。2つの名称に共通するのは、日本における自然に対する尊敬と畏怖の思いです。いずれの名称も消滅の危機にあるアイヌ語や沖縄・琉球語から選ばれており、2019年が国際連合の定める「国際先住民族言語年」であることも勘案されています。今回のこのキャンペーンで決定された太陽系外惑星系の名称は、世界共通の公式な天体名として今後も広く使われていくことになります。
IAUは天文学の市民への浸透と理解を深めるため、今後もさまざまな活動を続けていきます。IAUの活動にぜひご関心をお寄せください。
2019年10月29日に国立天文台三鷹キャンパスで開催された特別選考委員会での記念写真。左から、山崎直子さん、渡部潤一さん、小川洋子さん、KAGAYAさん、高橋真理子さん、篠原秀雄さん、安田岳志さんの各委員と、司会進行の国立天文台天文情報センター山岡均広報室長。委員のうち、竹宮惠子さん(画面左)と吉川真さん(画面中央下)はテレビ会議で、王貞治さんは書面での参加となった。 オリジナルサイズ(14MB)