2025-09-11 高エネルギー加速器研究機構,J-PARCセンター,日本原子力研究開発機構
茨城県東海村の大強度陽子加速器施設J-PARCにおいて、「遅い取り出し」運転で加速サイクルあたり8.1×10¹³個の陽子を実現し、世界記録を達成した。これは米ブルックヘブン国立研究所の記録を超える成果で、ビームパワー換算で92kWに相当する。「遅い取り出し」は約2秒かけて徐々に陽子を取り出す方式で、K中間子やπ中間子などの生成粒子を用いる素粒子・原子核実験に適している。ビーム強度の増加は統計精度向上や実験時間短縮につながり、超原子核の精密測定や稀な崩壊現象の探索を可能にする。さらにエネルギー効率向上にも資することから、学術的価値だけでなくSDGsの観点からも意義が大きい。今後はさらなる増強を進め、素粒子原子核研究の国際的な拠点としての役割を強化していく。

図1: J-PARCの三つの加速器と実験施設
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