2023-08-23 国立天文台
遠藤勇夫(国立天文台 天文情報センター)
発見時の画像(クレジット:西村栄男)
日本の天体捜索者が新彗星を発見しました。
静岡県掛川市の西村栄男(にしむら ひでお)さんは、2023年8月13日(日本時)の明け方、東の低空、ふたご座の方向に新天体を発見し、国立天文台の新天体通報窓口に報告しました。日本の天体愛好家を含む世界中の観測者の確認観測により、この天体は新彗星(すいせい)であることが分かりました。新天体の発見報を取りまとめている国際天文学連合小惑星センターは、この新彗星を「西村彗星(C/2023 P1 (Nishimura))」として公表しました。西村さんは、1994年7月と2021年7月にも彗星を発見しており、今回が3つ目の新彗星の発見となります。
この西村彗星は、2023年9月中旬には太陽におよそ0.2天文単位の距離まで接近する見込みです。日本では8月末から9月上旬にかけて明け方の東の低空で、双眼鏡を使えば見えるほどに明るくなると予報されています。彗星が明るさを増す頃は、かなり低空に位置し太陽にも近づくため、観察には十分な注意が必要です。
日本の天体捜索者による新天体の発見は、天文学に大きく貢献しています。今回発見された彗星も、太陽に近づく前後の振る舞いなどが詳しく調べられれば、天文学に新たな知見を与えてくれるものと期待されます。