2025-12-08 ブラウン大学
米国の地下実験施設で稼働するLZ実験は、これまでで最大規模のデータ(2023年3月~2025年4月、通算417日分)を解析し、宇宙の質量の約85%を占めると考えられる「暗黒物質(WIMP=ウィンプ)」の探索において、これまでで最も感度の高い結果を得た。今回の解析では、WIMPの質量が約 3–9 GeV/c² の範囲を対象としたが、WIMP による明確な信号は確認されなかった。これにより、低質量の WIMP がとりうる性質の候補範囲はさらに狭められた。一方で、LZ は暗黒物質検出器としては初めて、太陽由来ニュートリノ(特にホウ素-8 由来ニュートリノ)が希に起こす核との散乱(綿密散乱 CEvNS)のシグナルをとらえた。この観測は「ニュートリノ霧(neutrino fog)」の領域に LZ が到達したことを示し、暗黒物質探索の限界と、新たな素粒子・太陽ニュートリノ物理研究への道を同時に開く成果となっている。研究には 37機関、約250名の科学者・技術者が参加しており、将来的にはデータ取得期間を 2028年までに1000日以上に延ばすことで、より広範な暗黒物質モデルの検証を目指す。

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