2024年12月の地震活動の評価

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2025-01-15 地震調査研究推進本部地震調査委員会

2024年12月の地震活動の評価

1.主な地震活動
目立った活動はなかった。

2.各領域別の地震活動
(1)北海道地方
目立った活動はなかった。

(2)東北地方
〇 12 月 28 日に福島県沖の深さ約 45km でマグニチュード(M)5.3 の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西-東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。

(3)関東・中部地方
○ 1月1日に石川県能登地方で発生した M7.6 の地震の活動域では、11 月 26 日に石川県西方沖で発生した M6.6 の地震の活動域以外で、全体として地震活動が低下してきているものの、2020 年 12 月から活発になった地震活動は依然として継続している。12 月 1 日から 12 月 31 日までに震度1以上を観測した地震は 37 回(石川県西方沖で 29 回、そのうち震度3が1回)発生している。12 月中の最大規模の地震は、24 日7時 11 分に発生した M4.4 の地震(最大震度3)である。なお、11 月中に震度1以上を観測した地震は 136 回(石川県西方沖で 123 回)であった。
GNSS観測によると、1月1日の M7.6 の地震の後、およそ 12 か月間に珠洲(すず)観測点で西北西方向に約6cm の水平変動など、能登半島を中心に富山県や新潟県、長野県など広い範囲で1cm を超える水平変動、輪島観測点で約9 cm の沈降が観測されるなど、余効変動と考えられる地殻変動が観測されている。
石川県能登地方の地殻内では 2018 年頃から地震回数が増加傾向にあり、2020 年 12 月から地震活動が活発になり、2022 年6月には M5.4、2023 年5月には M6.5、 2024 年1月には M7.6、6月には M6.0、11 月には M6.6 の地震が発生した。一連の地震活動において、2020 年 12 月1日から 2024 年 12 月 31 日までに震度1以上を観測する地震が 2629 回発生した。また、2020 年 12 月頃から地殻変動も観測されていた。
これまでの地震活動及び地殻変動の状況を踏まえると、2020 年 12 月以降の一連の地震活動は当分続くと考えられ、M7.6 の地震後の活動域及びその周辺では、今後強い揺れや津波を伴う地震発生の可能性がある。
○ 12 月 17 日に茨城県南部の深さ約 55km で M4.2 の地震が発生した。この地震の発震機構は北西-南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。
○ 12 月 27 日に鳥島近海の深さ約 10km(CMT 解による)で M6.2 の地震が発生し た。この地震の発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型であった。

(4)近畿・中国・四国地方
目立った活動はなかった。

(5)九州・沖縄地方
○ 12 月 17 日に薩摩半島西方沖の深さ約 160km で M5.2 の地震が発生した。この地震はフィリピン海プレート内部で発生した地震である。

(6)南海トラフ周辺
○ 南海トラフ沿いの大規模地震の発生の可能性が平常時と比べて相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていない。(7)その他の地域
○ 12 月8日、27 日に千島列島でそれぞれ深さ約 210km、150km で M6.1、M6.8 の地震が発生した。これらの地震の発震機構は東北東-西南西方向に圧力軸を持つ型、北西-南東方向に圧力軸を持つ型で、ともに太平洋プレート内部で発生した地震である。

補足(2025 年1月1日以降の地震活動)
○ 2025 年1月 13 日に日向灘の深さ約 35km で M6.6 の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西-東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。この地震により、宮崎県の宮崎港、日南市油津で 0.2m の津波を観測するなど、宮崎県から高知県にかけて津波を観測した。
この地震は 2024 年8月8日に発生した M7.1 の地震後の活動域内で発生した。 M7.1 の地震発生直後は、活動は活発な状態であったが、時間の経過とともに地震回数は減少していた中で、今回の地震が発生した。M6.6 の地震発生以降の地震活動は 15 日に M5.4(速報値)が発生するなど、活発な状態が続いている。過去の事例では、大地震発生後に同程度の地震が発生した割合は1~2割あることから、揺れの強かった地域では、地震発生から1週間程度、最大震度5弱程度の地震に注意が必要である。
GNSS観測によると、今回の地震に伴い宮崎県を中心に地殻変動を観測している。これまでにGNSSで検出された地殻変動は、大きいところで、佐土原観測点で南東方向に約5cm である。なお、2024 年8月8日に発生した M7.1 の地震の後、およそ5か月間に宮崎観測点で南東方向に約5cm の変動など宮崎県南部を中心に、余効変動と考えられる地殻変動が観測されている。
今回の地震は、地震調査委員会が「日向灘及び南西諸島海溝周辺の地震活動の長期評価(第二版)(令和4年3月 25 日公表)」で評価対象としていた「日向灘のひとまわり小さい地震」の発生領域で起きており、周辺では 1996 年 10 月 19 日に M6.9 の地震、1996 年 12 月3日に M6.7 の地震が発生し、いずれも被害を生じている。長期評価では、この領域では M7.0~M7.5 程度の地震が 30 年以内に発生する確率はⅢランク(*)で、海溝型地震の中では発生する確率が高いグループに分類されている。なお、日向灘周辺で 1662 年に発生した地震は M8 程度の巨大地震であった可能性がある。

*:海溝型地震における今後 30 年以内の地震発生確率が 26%以上を「Ⅲランク」、3%~26%未満を「Ⅱランク」、3%未満を「Ⅰランク」、不明(すぐに地震が起きることを否定できない)を「X ランク」と表記している。
注:GNSSとは、GPSをはじめとする衛星測位システム全般を示す呼称である。

詳しい資料は≫

1702地球物理及び地球化学
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