2024年6月の地震活動の評価

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2024-07-09 地震調査研究推進本部地震調査委員会

1.主な地震活動
○ 6月3日に石川県能登地方の深さ約 15km でマグニチュード(M)6.0 の地震が発生した。この地震により石川県で最大震度5強を観測し、負傷者が出るなど被害を生じた。また、この地震により石川県で長周期地震動階級2を観測した。

2.各領域別の地震活動
(1)北海道地方
目立った活動はなかった。

(2)東北地方
○ 6月 23 日に福島県沖の深さ約 50km で M4.9 の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西-東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。

(3)関東・中部地方
○ 1月1日に石川県能登地方で発生した M7.6 の地震の震源域では、地震活動が低下してきていたものの、6月3日には M6.0 の地震(最大震度5強)や M5.0 の地震(最大震度4)が発生するなど、2020 年 12 月から活発になった地震活動は依然として継続している。6月3日の M6.0 の地震の発震機構は北西-南東方向に圧力軸を持つ逆断層型であり、南東傾斜の M7.6 の地震の震源域の深部で発生した。6月 1 日から6月 30 日までに震度1以上を観測した地震は 35 回(震度5強:1回、震度4:1回、震度3:1回)発生している。6月中の最大規模の地震は、3日 06 時 31 分に発生した M6.0 の地震(最大震度5強)である。なお、5月中に震度1以上を観測した地震は 28 回であった。
M7.6 の地震後の震源分布は全体的な傾向としては、南東傾斜の断層面上で発生しているものの、臨時の海底地震観測に基づき得られた詳細な震源分布によると、震源域北東部では、北西傾斜の面上でも発生している。
陸のプレート内で発生した大地震の事例では、平成 16 年(2004 年)新潟県中越地震(M6.8)、平成 28 年(2016 年)熊本地震(M7.3)、平成 30 年北海道胆振東部地震(M6.7)のように、最大の地震発生から数か月以上経って、地震の発生数が緩やかに減少している中で大きな規模の地震が発生したことがある。
GNSS観測によると、1月1日の M7.6 の地震の後、およそ6か月間に能都(のと)観測点で北西方向に約4cm の水平変動など、能登半島を中心に富山県や新潟県、長野県など広い範囲で1cm を超える水平変動、能登半島北部では輪島観測点で約7cm の沈降が観測されるなど、余効変動と考えられる地殻変動が観測されている。また、6月3日の M6.0 の地震に伴い、珠洲(すず)観測点で西南西方向に1cm 程度の水平変動、2cm 程度の隆起が見られたほか、震央周辺で最大2cm 程度の水平変動及び隆起が見られるなど、地殻変動が観測された。
石川県能登地方の地殻内では 2018 年頃から地震回数が増加傾向にあり、2020 年 12 月から地震活動が活発になり、2022 年6月には M5.4、2023 年5月には M6.5、 2024 年1月には M7.6 の地震が発生した。一連の地震活動において、2020 年 12 月1日から 2024 年6月 30 日までに震度1以上を観測する地震が 2386 回発生した。また、2020 年 12 月頃から地殻変動も観測されていた。
これまでの地震活動及び地殻変動の状況を踏まえると、2020 年 12 月以降の一連の地震活動は当分続くと考えられ、M7.6 の地震後の活動域及びその周辺では、今後強い揺れや津波を伴う地震発生の可能性がある。

(4)近畿・中国・四国地方
○ 4月 17 日の豊後水道で M6.6 の地震が発生して以降、地震活動は減衰しつつも、6月1日に M4.5 の地震が発生するなど地震活動は継続しており、4月 17 日 23 時から6月 30 日 24 時までに震度1以上を観測した地震は 82 回(震度6弱:1回、震度4:2回)発生した。

(5)九州・沖縄地方
目立った活動はなかった。

(6)南海トラフ周辺
○ 南海トラフ沿いの大規模地震の発生の可能性が平常時と比べて相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていない。

注:GNSSとは、GPSをはじめとする衛星測位システム全般を示す呼称である。

2024年6月の地震活動の評価

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1702地球物理及び地球化学
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