2023-04-06 アメリカ合衆国・国立再生可能エネルギー研究所(NREL)
・ NREL を始めとする世界の PV 専門家(世界 15 カ国の 41 機関)が、電源供給のための PV 製造と展
開の継続的な成長へのコミットメントを強く求める報告書を発表。別のエネルギー供給手段への合意や
技術的な奇跡の土壇場での出現を待ちながら PV 成長予測を低く抑えることは 「もはや選択肢ではな
い」と主張。
・ 昨年の第 3 回テラワット・ワークショップで得られたこのような合意は、電化と温室効果ガス削減を推
進するための大規模な PV 展開の必要性に関する世界の多数グループの予測によるもの。PV 技術の
受け入れが進み、脱炭素化の目標達成には 2050 年までに約 75TW 超の世界的展開が必要と専門家ら
が提言。
・ NREL、ドイツ・フラウンホーファー研究機構・太陽エネルギーシステム研究所(ISE)および産業技術総
合研究所(AIST)の代表者らが率いた昨年の第三回テラワット・ワークショップには、研究機関、学界、産
業界より PV、グリッド統合、分析、エネルギー貯蔵の世界のリーダーが参加した。
・ 2016 年の第一回目の会合では、2030 年までに最低でも 3TW の目標を設定。続く 2018 年には 2030
年までに 10TW、そして 2050 年までにはその 3 倍が達成目標に。当時予測された「今後 5 年間で 1TW」
は昨年達成されている。
・ 日射は地球のエネルギー需要を満たすのに十二分のエネルギーを容易に供給できるが、実際に利
用されているのはごく一部。PV による世界の電力供給量は、2010 年の極僅かな量から 2022 年には 4
~5%へと大幅に増加している。
・ 75TW の目標達成は、シリコン製 PV パネルメーカーによるマルチ TW 規模での持続可能性維持のた
めの銀の使用量低減、PV 産業による年間約 25%の成長継続、産業界では材料の持続可能性強化を通
じた環境フットプリントの削減に向けた継続的な革新が重要である等、PV メーカーと科学コミュニティー
の両者への要求が甚大になると予測する。
・ また、PV 技術にはエコデザインと循環性を反映した再設計が必要としながらも、今後 20 年間の需要
と比較したこれまでの低い導入量を考慮すると、現時点では材料需要に応じるためのリサイクルは経済
的に実行可能な解決策ではないとしている。
・ 75TW の目標は、困難な課題であると同時に今後探求可能な道筋でもある。近年の歴史と現在の進
展がその達成の可能性を示唆している。
URL: https://www.nrel.gov/news/press/2023/news-release-next-decade-decisive-for-pv-growth-on-the-path-to-2050.html
<NEDO海外技術情報より>
関連情報
Science 掲載論文(アブストラクトのみ:全文は有料)
Photovoltaics at multi-terawatt scale: Waiting is not an option
URL: https://www.science.org/doi/10.1126/science.adf6957
Abstract