2020-08-27 運輸安全員会
概要
報告書番号:MA2020-7
発生年月日:2019年09月17日
事故等種類:転覆
事故等名:漁船第六十五慶栄丸転覆
発生場所:北海道根室市納沙布岬東方沖 納沙布岬灯台から真方位093°322海里付近
管轄部署:事務局
船舶種類:漁船
総トン数:20~100t未満
概要
漁船第六十五慶栄丸は、船長ほか7人が乗り組み、北海道根室市花咲港に向けて帰港中、令和元年9月17日07時20分ごろ、北海道根室市納沙布岬東方沖において、転覆した。
第六十五慶栄丸は、乗組員8人のうち1人が死亡し、7人が行方不明となった。
原因
本事故は、海上強風警報が発表され、南方から発達中の低気圧が接近する状況下、第六十五慶栄丸が、納沙布岬東方沖を花咲港に向け、左舷側から風及び波浪を受けながら西進中、左舷側からの横波(左舷側から1/1000最大期待値の横揺れを生じさせた波)を受けて横揺れを生じ、左舷側(風上側)に最大限横揺れした時点で突風が吹き、風による傾斜モーメントが急激に増大し、ブルワーク没水角を超える右舷側への傾斜が生じたため、右舷ブルワークが水没し、転覆した可能性があると考えられる。
左舷側からの横波を受けて横揺れを生じ、左舷側(風上側)に最大限横揺れした時点で突風が吹き、風による傾斜モーメントが急激に増大し、ブルワーク没水角を超える右舷側への傾斜が生じたのは、第六十五慶栄丸が、左舷側から風及び波浪を受ける針路及び速力で航行していたことによるものと考えられる。
〇 その他安全に関する事項
事故情報の早期通報のための連絡体制の構築
早期の通報は、早期の捜索開始につながり、そのことが要救助者の生存率を高め、被害の軽減にもつながる可能性があることから、現場の僚船はもちろんのこと、情報伝達先の漁業協同組合、船舶所有者等は、可能な限り早期に海上保安庁へ通報を行うとともに、必要に応じて、早期通報のための連絡体制を構築することが望ましい。
北太平洋さんま漁業長期代船建造計画の更なる推進
・令和元年は、過去に経験のない漁場の遠隔化と資源減少により、水揚量、水揚金額とも大きく落ち込む大不漁となり、小型船及び中型船は、漁場の遠隔化等により操業機会を失し、操業回数が減少しており、また、時化に強く、長期航海が可能な大型船との操業回数の船間格差は大きくなっているとのことである。
・北太平洋さんま漁業長期代船建造計画は、遠隔地漁場の操業にも対応でき、国際的な資源管理の枠組みの中で、国内外の需要に適切に応えられるよう、我が国の漁船勢力を維持できるほか、省エネ、省コスト、省力化に配慮した高性能な改革型漁船に更新することで、乗組員の居住環境の改善、安全性の確保、作業効率の向上等労働環境の改善が図られるなど、見込まれる効果も大きいものと考えられることから、同計画の更なる推進が望ましい。
死傷者数:死亡:1人、行方不明:7人
公表年月日:2020年08月27日