(Study: Paper-thin gallium oxide transistor handles more than 8,000 volts)
2020/6/1 アメリカ合衆国・バッファロー大学
・ バッファロー大学が、酸化ガリウム(Ga2O3)ベースの MOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)開発において、性能の飛躍的な向上に成功。
・ 電力を制御・変換する小型で効率的な電子システムであるパワーエレクトロニクスのさらなる進展には、システムサイズを抑えながらより多量のエネルギー量を扱える次世代電子コンポーネントが不可欠。
・ 同大学では、以前より Ga2O3 のポテンシャルについて研究を進めており、同材料を使用したトランジスタの開発の可能性を探求。Ga2O3 は、パワーエレクトロニクスでの使用に最適なワイドバンドギャップを有する。
・ エネルギーバンドにおいて電子が伝導帯に移動するのに必要なエネルギーを決定するバンドギャップが大きな半導体材料から成るシステムは、薄く軽量で小さなバンドギャップの材料に比べてより多量のエネルギーを扱える。
・ バンドギャップが約 4.8eV の Ga2O3 は、超ワイドバンドギャップの材料グループの一つ。Ga2O3 のバンドギャップは、シリコン(約 1.1eV)をはじめ、その代替とされる炭化ケイ素(SiC)(約 3.4eV)や窒化ガリウム(GaN)(約 3.3eV)を上回る。
・ 同 Ga2O3 トランジスタの革新性は、デイバスをコーティングして表面の化学反応を低減させるパッシベーション化学プロセスの採用。マイクロエレクトロニクスで一般的に利用されるエポキシ樹脂ポリマーの SU-8 層を追加した。
・ 同トランジスタの試験では、SiC や GaN を超える降伏電圧 8,032V を確認。降伏電圧が高いほど、デイバスが処理できるエネルギーが大きくなる。パッシベーション層の追加は、トランジスタ性能を向上させるシンプル、効率的でコスト効果的な方法。
・ また、シミュレーションでは 10MV/cm を超える電界強度を確認。電界強度は、ある位置の電磁波の強度を示し、パワーエレクトロニクスシステムのサイズと重量を決定する。
・ 本研究は、米国空軍科学研究局(AFOSR)および米国立科学財団(NSF)が支援した。
URL: http://www.buffalo.edu/news/releases/2020/06/001.html
<NDO海外技術情報より>
(関連情報)
IEEE Electron Device Letters 掲載論文(フルテキスト)
Field-Plated Lateral Ga2O3 MOSFETs With Polymer Passivation and 8.03 k