2025-03-12 産業技術総合研究所
国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研)は、株式会社フソウと共同で、産業廃水中のアンモニウムイオン(NH₄⁺)を効果的に回収し、資源として再利用する技術を開発しました。 この技術は、青色顔料として知られるプルシアンブルーの鉄原子の一部を亜鉛に置換した「亜鉛プルシアンブルー型錯体(ZnPB)」を吸着材として利用し、NH₄⁺を選択的に吸着・脱離するものです。
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高効率なアンモニウムイオンの回収: ZnPBは、廃水中のNH₄⁺を選択的に吸着し、塩化カリウム(KCl)溶液を用いることで容易に脱離させ、高濃度のアンモニウム溶液として回収可能であることが確認されました。
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連続処理装置の開発と実証: ZnPBを充填したカラムを用いた連続処理装置を開発し、実際のメッキ工場の廃水処理に適用。NH₄⁺濃度を排出基準以下に低減し、回収したNH₄⁺を工業的に再利用可能な濃度まで濃縮することに成功しました。
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吸着材の耐久性と再利用性: ZnPBの吸着・脱離サイクルを500回繰り返しても性能が維持されることが確認され、長期的な使用が可能であることが示されました。
この技術は、産業廃水中のアンモニアを効果的に回収し、資源として再利用することで、環境保護と資源循環型社会の実現に貢献することが期待されます。
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