2024-09-26 アメリカ合衆国・ワシントン州立大学(WSU)
・ WSU が、植物細胞の主成分の 1 つであるリグニンポリマーを、SAF の性能向上に役立つ可能性のあるジェット燃料に直接変換する連続的なプロセスを実証。商業航空での実現可能性をより正確に評価するデータを提供し、新技術の実用性の向上を目指す。
・ 同時脱重合・水素化脱酸素プロセスを通じてリグニンポリマーの分解と同時に酸素を除去し、リグニンベースのジェット燃料を生成する。溶解したリグニンポリマーを連続水素化処理反応器に投入して燃料を製造する、商業生産の実現の可能性を高めた連続プロセス試験に成功した。
・ また、リグニンバイオオイルを使用した類似の研究とは対照的に、トウモロコシの茎葉から抽出した、加工が少なく安価な形態のリグニンである「工業リグニン」を使用した。
・ 2019 年の世界の航空燃料消費量は過去最高の 1 千億ガロン近くに達し、今後数十年での需要の増加が予想されている。植物由来のバイオマスから得られる SAF は、航空機からの CO2 排出量を最小限に抑え、航路雲を減らし、国際的なカーボンニュートラル目標の達成に貢献する可能性がある。
・ リグニンベースのジェット燃料は、SAF をよりクリーンにし、ジェットエンジンでの利便性を高める可能性がある。触媒作用でリグニンから得られる炭化水素は、高密度性、効率性やシール膨張特性のため、芳香族と呼ばれる化合物を効果的に代替する可能性がある。
・ 植物を強靭で木質にする構造分子のリグニンは、トウモロコシの茎葉(収穫後に残る茎、芯、葉)やその他の農業副産物から抽出される。リグニンベースの燃料は CO2 排出量を削減し、最終的には SAF を完全に「ドロップイン」の燃料にして、既存の化石由来の航空燃料のように、あらゆるエンジン、インフラや航空機で使用できるようになる可能性がある。
・ 新技術のプロセスの効率化とコストの低減に取り組む。本研究は、米国エネルギー省(DOE) バイオエネルギー技術局(BETO)、パシフィックノースウェスト国立研究所(PNNL)、米国立再生可能エネルギー研究所(NREL)および Advanced Refining Technologies LLC が支援した。
URL: https://news.wsu.edu/press-release/2024/09/26/new-continuous-reaction-process-can-help-turn-plant-waste-into-sustainable-aviation-fuel/
<NEDO海外技術情報より>
関連情報
Fuel Processing Technology 掲載論文(フルテキスト)
A simultaneous depolymerization and hydrodeoxygenation process to produce lignin-based jet fuel in
continuous flow reactor
URL: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0378382024000997?via%3Dihub
Highlights
- Simultaneous depolymerization and HDO of lignin demonstrated in continuous flow reactor.
- Aviation fuel range cycloalkanes produced with 17.9 wt% carbon yield.
- Tier alpha fuel properties identified these cycloalkanes as a good fit for aviation fuel.
- Exchange of K+ ion from lignin solution and coke deposition to catalyst surface observed.