海洋へとつながるネットゼロの炭素捕獲・貯蔵への道筋 (Path to net-zero carbon capture and storage may lead to ocean)

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2023-03-29 アメリカ合衆国・リーハイ大学

・ リーハイ大学が、大気中の CO2 を取り込んで海洋の 「無限のシンク」 に貯蔵する新技術、「DeCarbonHIX(ハイブリッドイオン交換材料による脱炭素)」を開発。
・ 銅と高分子によるハイブリッドのフィルターで、大気中の CO2 を捕獲し、海水で CO2 を重炭酸ナトリウム(重曹)に変換後、海洋に安全に直接廃棄できる。アルカリ性の重曹は、CO2 による pH 低減で酸性化した海水の回復にも貢献できる。
・ 新技術では、大気から CO2 を直接回収する現行の DAC 技術に比して、CO2 捕獲量が 300%向上する。各国のメディアや米国化学会等の専門機関が注目し、ブラジル、アイルランドや中東の企業からの問い合わせを受けている。
・ 米国内務省(DOI)開拓局(USBR)が研究資金を提供する進行中の CO2 駆動型排水淡水化プロジェクトでの CO2 の安定供給の探求において DAC 技術に至り、新技術の開発につながった。
・ 化学的プロセスにより大気から CO2 を取り出して地下に貯蔵する DAC 技術の課題は、プロセス稼働のエネルギーコストを上回る CO2 量が回収できないこと。大気中の CO2 濃度(400ppm)は、希薄すぎるため現行のフィルターでの回収が困難。また、捕獲した CO2 を安定して貯蔵できる場所の確保が必要。
・ 「」は、CO2 捕獲と貯蔵に関するこれらの課題を解決するもの。銅が高分子材料の元来の特性を変え、CO2 捕獲容量を飛躍的に向上させる。あらゆる CO2 濃度に対応可能で、裏庭や砂漠、海洋でも DAC 技術を実施できる。
・ また、従来の DAC のプロセスと同様に、高純度の CO2 を回収・圧縮して地下貯蔵することも可能。フィルターに水酸化ナトリウムの希釈溶液を通してクリーニングし、CO2 捕獲を再開することもできる。水酸化ナトリウムは、太陽光や風力等の再生可能エネルギーを使用して海水から生成できる。
・ 「DeCarbonHIX」で大気から CO2 を捕獲→海水で CO2 を重炭酸ナトリウムに変換→海水で水酸化ナトリウムを生成してフィルター回復、のような、波力や風力、太陽光で全電力を賄いながら全体のオペレーションをまとめたオフショアプラットフォームを構想する。
・ このようなプラットフォームを全世界に展開し、今後 5~7 年で 1 億トンの CO2 を捕獲する。真に世界的なレベルへのスケールアップが今後の課題。専門知識や多分野間の協力、資金が必要となる。
URL: https://engineering.lehigh.edu/news/article/path-net-zero-carbon-capture-and-storage-may-lead-ocean

<NEDO海外技術情報より>

関連情報

Science Advances 掲載論文(フルテキスト)
Direct air capture (DAC) and sequestration of CO2: Dramatic effect of coordinated Cu(II) onto a
chelating weak base ion exchanger
URL: https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.adg1956

Abstract

Direct air capture (DAC) is important for achieving net-zero greenhouse gas emissions by 2050. However, the ultradilute atmospheric CO2 concentration (~400 parts per million) poses a formidable hurdle for high CO2 capture capacities using sorption-desorption processes. Here, we present a Lewis acid-base interaction–derived hybrid sorbent with polyamine-Cu(II) complex enabling over 5.0 mol of CO2 capture/kg sorbent, nearly two to three times greater capacity than most of the DAC sorbents reported to date. The hybrid sorbent, such as other amine-based sorbents, is amenable to thermal desorption at less than 90°C. In addition, seawater was validated as a viable regenerant, and the desorbed CO2 is simultaneously sequestered as innocuous, chemically stable alkalinity (NaHCO3). The dual-mode regeneration offers unique flexibility and facilitates using oceans as decarbonizing sinks to widen DAC application opportunities.
0500化学一般
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