2025-01-09 京都大学
前田啓一 理学研究科教授、岩田悠平 国立天文台特任助教らから成る国際研究グループは、近傍銀河で発見された超新星のVLBI観測網による電波観測の結果と理論モデルの比較から、親星の質量放出が爆発の数十年前から活発化していたことを解き明かしました。この成果は、大質量星の進化過程の解明に貢献するとともに、国内の小規模なVLBI観測網が突発天体の研究において有効な手段となり得ることを示しています。
本研究成果は、2025年1月8日に、国際学術誌「The Astrophysical Journal」にオンライン掲載されました。
京都大学岡山天文台せいめい望遠鏡で撮影されたM101の可視光画像。超新星爆発が発生する前(左上)と、SN 2023ixfが出現した2023年5月20日(左上2枚目)以降の画像を比較することができる。画像提供:京都大学岡山天文台/TriCCSチーム(京都大学・東京大学)
研究者のコメント
「超新星をはじめとする突発天体現象の観測においては機動性が鍵となるため、中小望遠鏡・観測装置がしばしば活躍します。可視光においてはすばる望遠鏡などの8mクラスの望遠鏡がある中で、京都大学の3.8mせいめい望遠鏡が成果をあげつつあります。電波域においても、国立天文台の岩田さんらとともに、国内および韓国の比較的小規模な望遠鏡ネットワークによる超新星観測を組織し始めたのですが、その矢先に今回の観測成果が得られ、幸先の良いスタートとなりました。今後は、国内の可視域望遠鏡と電波望遠鏡との協調観測等、様々な展開が期待されます。」(前田啓一)
詳しい研究内容について
研究者情報
研究者名:前田 啓一
書誌情報
【DOI】https://doi.org/10.3847/1538-4357/ad9a62
【書誌情報】
Yuhei Iwata, Masanori Akimoto, Tomoki Matsuoka, Keiichi Maeda, Yoshinori Yonekura, Nozomu Tominaga, Takashi J. Moriya, Kenta Fujisawa, Kotaro Niinuma, Sung-Chul Yoon, Jae-Joon Lee, Taehyun Jung, Do-Young Byun (2025). Radio Follow-up Observations of SN 2023ixf by Japanese and Korean Very Long Baseline Interferometers. The Astrophysical Journal, 978, 2, 138.