2024-11-21 京都大学
松本徹 白眉センター/理学研究科特定助教らは、日本の探査機「はやぶさ2」が回収した小惑星リュウグウの砂つぶから、微小な塩の結晶を発見しました。これらはリュウグウの母体となる天体を満たした塩水が蒸発や凍結によって失われた時に析出した鉱物です。同じく塩類が見つかっているエンセラダスなどの海洋天体とリュウグウの水の環境とを比較する研究につながります。
本研究成果は、2024年11月18日に、国際学術誌「Nature Astronomy」にオンライン掲載されました。
リュウグウの砂表面で見られたナトリウム炭酸塩脈(青色)の擬似カラー電子顕微鏡画像
研究者のコメント
「見つかった塩鉱物は電子線にとても弱く、電子顕微鏡での観察中に時間をかけると消えてなくなってしまいます。分析はリュウグウの鉱物の中でも特に困難を伴いました。根気強く観察条件を整えて鉱物種を決めたことで、太陽系の水の進化に関わる意義のある研究ができました。地球に飛来する隕石を調べても、水に溶けやすい塩鉱物は地球上での風化ですぐに変化してしまいます。今回の発見は、はやぶさ2が小惑星リュウグウから直接サンプルを持ち帰ったことで初めて可能となりました。」(松本徹)
詳しい研究内容について
小惑星リュウグウの砂つぶに発見された塩の結晶―太陽系の海洋天体とのつながりを知る新たな手がかり―
研究者情報
研究者名:松本 徹
書誌情報
【DOI】https://doi.org/10.1038/s41550-024-02418-1
【書誌情報】
Toru Matsumoto, Takaaki Noguchi, Akira Miyake, Yohei Igami, Megumi Matsumoto, Toru Yada, Masayuki Uesugi, Masahiro Yasutake, Kentaro Uesugi, Akihisa Takeuchi, Hayato Yuzawa, Takuji Ohigashi, Tohru Araki (2024). Sodium carbonates on Ryugu as evidence of highly saline water in the outer Solar System. Nature Astronomy.