バナナ「紙」の繭でヤマイモを育てる(Yams Benefit From Banana ’Paper’ Cocoon)

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2023-02-21 ノースカロライナ州立大学(NCState)

◆アフリカのベナンで行われたフィールドテストでは、バナナの使用不能部分とリサイクル段ボールを混ぜた生分解性紙でヤマイモの種を包むと、ヤマイモのサイズと収量が大幅に増加しました。
◆Nature Food』誌に掲載されたノースカロライナ州立大学の研究によると、バナナの繊維と段ボールでできた紙の中に植えたヤマイモの種は、アバメクチンという害虫を殺す化学物質を微量に加えたものと加えないものがあり、従来の方法で植えたヤマイモよりも大きく豊かに成長したとのことです。
◆収穫量が多く健康なヤムイモであることに加え、4年間の研究により、3カ月および5カ月保存後の塊茎の皮におけるヤマイモ線虫(S. bradys)の影響が大幅に減少し、「ラップ&プラント」方式が収穫後の損失を減らすのに有効であることが示されました。ヤマイモ線虫はヤマイモの乾燥腐敗を引き起こし、塊茎を細菌や真菌に感染させやすくします。
◆研究者によると、ヤマイモ線虫と仲間の線虫の病原体は、世界のヤマイモ作物の年間17~50%の損失を引き起こす可能性があるそうです。世界のヤムイモの約92%を生産するアフリカの「ヤムイモベルト」に位置するベナンでは、こうした危険性を認識している農家はほとんどないそうです。
◆この研究の共同筆頭著者で、NC州立大学化学・生体分子工学科の博士研究員であるTahira Pirzada氏は、バナナの収穫廃棄物と古い段ボールを混ぜた水性スラリーから紙を作りました、と述べました。しなやかで多孔質のラップを作るのに最も効果的だったのは、バナナの廃棄物4部と段ボール1部の割合だった。
◆スラリーから水を取り除くと、柔軟なバナナペーパーができあがる。これをカッターで小さく切り、山芋の種に巻き付け、植え付ける。
◆バナナ紙の効果を検証するために行われたフィールドテストでは、研究者はバナナ紙だけで包んだもの、少量のアバメクチンを加えたバナナ紙で包んだもの、バナナ紙で包んでいないものでヤマイモの種を植えました。ベナンの3つの地域で行われた圃場試験では、アバメクチン入りまたは未処理のバナナペーパーで処理した塊茎から作られた作物の収量と品質が大幅に向上することが示されました。アバメクチン入りバナナペーパーは乾燥腐敗と割れから最も保護され、バナナペーパー単独がそれに続いた。
◆研究者たちは現在、サツマイモやキャッサバなど他の作物でもラップ&プラント技術をテストしており、アフリカの経済発展の原動力となるこの技術の商業化を目指しています。以前の研究では、バナナペーパーがアフリカのジャガイモ作物で有効であることが示されました。

<関連情報>

サハラ以南のアフリカの零細農家の収量と収穫後の損失を軽減する植物バイオマスベースのハイブリッドシードラップ Plant-biomass-based hybrid seed wraps mitigate yield and post-harvest losses among smallholder farmers in sub-Saharan Africa

Tahira Pirzada,Antoine Affokpon,Richard H. Guenther,Reny Mathew,Sachin Agate,Aitana Blevins,Medwick V. Byrd,Tim L. Sit,Stephen R. Koenning,Eric L. Davis,Lokendra Pal,Charles H. Opperman & Saad A. Khan
Nature Food  Published:16 February 2023
DOI:https://doi.org/10.1038/s43016-023-00695-z

バナナ「紙」の繭でヤマイモを育てる(Yams Benefit From Banana ’Paper’ Cocoon)

Abstract

Sustainable practices that reduce food loss are essential for enhancing global food security. We report a ‘wrap and plant’ seed treatment platform to protect crops from soil-borne pathogens. Developed from the abundantly available wastes of banana harvest and recycled old, corrugated cardboard boxes via chemical-free pulping, these paper-like biodegradable seed wraps exhibit tunable integrity and bioavailability of loaded moieties. These wraps were used for nematode control on yam (Dioscorea cayenensis-rotundata) seed pieces in Benin, a major producer of this staple crop in the sub-Saharan African ‘yam belt’. Our seed wraps loaded with ultra-low-volume abamectin (1/100 ≤ commercial formulation) consistently controlled yam nematode (Scutellonema bradys) populations while considerably increasing the yield at various locations over 2015–2018. Substantial reduction in post-harvest tuber weight loss and cracking was observed after 3 and 5 months of storage, contributing to increased value, nutrition and stakeholders’ preference for the wrap and plant treatment.

1204農業及び蚕糸
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