2023-02-01 株式会社NTTドコモ
株式会社NTT ドコモ(以下 ドコモ)は、バーチャル空間において「超多人数接続」や「価値観理解」、「行動変容」が可能になる技術(以下、本技術)を開発しました。本技術を用いて、自分らしさを表現したり、目的や価値観に応じて他者と繋がることが可能になる「メタコミュニケーション」を体験するサービスとして「MetaMe™(メタミー)」を株式会社Relic(以下、Relic)が2023年2月中にβ版を先行提供※1し事業検証を行います。
バーチャル空間は利用が広がる一方で、従来のクラウドレンダリング環境の制約により、1つの空間に同時接続できる規模が数十名程度と限定的なため、大規模な催しなどの開催が困難となっています。そのほかにも、バーチャル空間上で他者との会話のきっかけが掴めない、会話が長く続かないなどという課題も存在します。
本技術では、準備した1つの空間に不特定多数のユーザを大量に収容する構造を実現し、SFU※2配備によりクラウドとユーザの通信トラフィックを最適化します。また、新たに開発したクラウドレンダリング技術によって従来のクラウドレンダリング環境と比較し、映像処理装置運用コストを96%以上低減し、クラウドレンダリングで問題になる運用コストの問題を解決します。これにより「超多人数接続」を可能にし、最大で1万人が同時接続できるようになります。この規模での同時接続が実現することにより、大人数ならではの賑わいやファンの熱量を活かしたイベントをバーチャル空間において開催できるようになります。
また、本技術には会話をしやすくする機能として「価値観理解技術」を搭載しています。「価値観理解技術」は、リアルとバーチャルの空間でシームレスに取得した空間移動履歴などのデータ※3を解析し、利用者の感情を理解します。本技術により、利用者が本人の動機とは無関係な内容のレコメンドを受ける問題を解決します。
「行動変容技術」では、「価値観理解技術」により得られた行動のみならず感情など内面の解析結果を反映し、他利用者とのマッチングやイベントのレコメンドを提供します。本技術により、コミュニケーションの促進や、コミュニティ間の往来(相互送客)を実現し、web3時代の価値交換、経済圏を拡大いたします。
本技術を用いて提供する新たなコミュニケーションサービス「MetaMe」は、利用者の価値観を反映する「Identity World(アイデンティティ・ワールド)」と、コミュニケーションの場となる「Community World(コミュニティ・ワールド)」の2つの概念から構成されます。 「Identity World」は、家具設置など利用者の好みにあわせてカスタマイズ可能な利用者個人の専用空間です。「Community World」では、利用者のコミュニケーションが活発に行われるよう、パートナーとの連携により様々な空間(コミュニティ)を提供していくことをめざします。「Community World」の初期パートナーとして、株式会社宝島ワンダーネット、琴平町、琴平バス株式会社および株式会社瀬戸内アートコレクティブの参画が決定しています。宝島ワンダーネットとの「Community World」では、バーチャル空間を活用したオンラインスクールサービスを、琴平町、琴平バス株式会社および株式会社瀬戸内アートコレクティブとの「Community World」では、香川県琴平町の観光名所を再現した空間を提供します。
また、「超多人数接続」の機能を活用し、「MetaMe」にて1万人が同時に接続する超多人数コミュニティ共同体験イベントを2023年3月に開催予定です。
なお、「MetaMe」の運用および提供を担うRelicや「Community World」で連携するパートナーとは、ドコモが運営する新規事業共創プログラム「39works®」の一環として連携します。
本技術および「MetaMe」は、2023年2月2日(木曜)からオンライン上で開催する「docomo Open House’23」にてご紹介します。
■「docomo Open House’23」オンラインサイト:
https://www.docomo.ne.jp/corporate/technology/rd/openhouse/openhouse2023/
別紙1 メタコミュニケーションを実現する技術の概要
1. 超多人数接続技術の特徴
- 従来の様にユーザに空間を個別に提供するのではなく、準備されている1つの空間に不特定多数のユーザを大量に収容する構造を実現。
- 従来のクラウドレンダリング環境と比較し96%以上の映像処理装置(GPU)運用コスト低減を実現し、クラウドレンダリングで問題になる映像処理装置(GPU)運用コストの課題も解決。
- 従来のようにデータ読込み(起動やワールド移動等)が発生せず、コミュニケーションをとりたい時にすぐにとれるため、手軽さが損なわれない仕組み。
- 今後、複数の一人称視点カメラの管理技術やWebブラウザ上での三次元空間再構成技術などを活用しさらなるサービス性向上をめざす。
2. 価値観理解技術の特徴
- 発話した内容や他人との関係性、表情などから読み取った感情を元に人の内面に焦点を当てて理解する技術。
- その人が興味を抱いている対象をテキストで表現することや他の技術と組み合わせることも可能。
例:自分の興味を設定すると話す内容を変化させるなど対話技術と組み合わせる - 今後、声色や文脈なども考慮する「音声・感情認識技術」や「言語・関係理解技術」を用い、「なぜその行動をするのか?」という行動の裏にある動機にも焦点を当てた開発も行う予定。
- それにより、従来の利用者の表層に現れる行動分析をベースとした、本人と動機とは無関係なレコメンドではなく、利用者に合ったレコメンドも可能となる予定。
3. 行動変容技術の特徴
- 「価値観理解技術」で解析した情報を基に、高精度マッチング・レコメンドを提供する技術。
- 「1人で退屈」や「大人数で驚きの体験を求めている」のような時とともに変化する、利用者の置かれている環境や感情に合わせて、レコメンドやマッチングで「推薦するコト」を導き出す。
4. 価値観理解技術と行動変容技術の活用
- 「価値観理解技術」と「行動変容技術」を「MetaMe」内に登場するペット※4に組み込み。
- 「MetaMe」にログインして、誰に話しかけて良いかわからない時に、自分のペットが相性の良さそうな人の所まで案内してくれる。
- 他にも、ログインしたのに誰もいなかった時に、他の人のペットと話をすることができる(ペルソナ対話)。
さらに、話が合いそうだと思った飼い主にフレンド申請を送ることができ、ペットを通じて友達の輪が広がっていく。 - ウェブ会議や他のサービスと連携し、「価値観理解技術」を搭載したペットがお散歩に行ける仕組みも検討中。
- さらに、利用者ごとに価値観が異なるため、同じレコメンドの対象でも、利用者の価値観に合わせて行動に繋がる「伝え方」の中から最適なものを提案する仕組みも検討していく予定。
価値観理解技術
行動変容技術
別紙2 「MetaMe」の概要
1. 概要
バーチャル空間において、他の利用者とコミュニケーションを通じて“私らしさ”を育めるコミュニケーションサービスです。利用者の価値観を反映する「Identity World(アイデンティティ・ワールド)」と、コミュニケーションの場となる「Community World(コミュニティ・ワールド)」の2つの概念から構成されます。
2. 「Identity World」
利用者の価値観を反映して“私らしさ”を表現する世界。利用者1人1人に与えられる専用空間を好みに合わせてカスタマイズ可能です。フレンド登録をした利用者同士であれば、互いのIdentity Worldに訪問できます。
3. 「Community World」
他の利用者とコミュニケーションを通じて“私らしさ”を育む世界です。テーマ毎に複数の世界が存在し、利用者の 好みに合った体験を通じて他の利用者と出会い、新たな発見を提供します。
4. 利用方法
「MetaMe」専用サイトにアクセスし、サイト内の案内に従い利用してください。
https://lp.metame.ne.jp
5. 利用料金(利用者としての料金)
無料
- Community Worldの一部コンテンツに有料でご利用いただける内容があります。
6. サービスロゴ
7. MetaMeにおけるパートナー企業との取組例
(1)教育 × MetaMe “J CLASS ACADEMY”
バーチャル空間技術を活用したオンラインスクールサービスで、担当講師やサポータによる相談や課題解決だけでなく、同じ学習中の利用者同士と交流することが可能です。
[事業パートナー]
株式会社宝島ワンダーネット
https://www.twn.ne.jp/
(2)地域創生 × MetaMe “香川県琴平町”
こんぴら狗※5と金刀比羅宮へ参拝やアート交流施設など香川県琴平町の観光名所をめぐり、地元の方やアートのファンが集まり交流することで地域の賑わいを創出します。
[事業パートナー]
香川県琴平町
https://www.town.kotohira.kagawa.jp/
琴平バス株式会社
https://www.kotobus.com/
株式会社瀬戸内アートコレクティブ
https://www.setocole.com/?lang=ja
協力:金刀比羅宮
(3)健康 × MetaMe “メタWellness”
「Identity World」内で案内人であるペットのオコジョに話しかけると、ペットのAI対話機能を活用した自分を振り返るセルフケアが体験できます。
[事業パートナー]
SELF株式会社
https://self.systems/
8. 提供元
株式会社Relic
- ドコモが運営する新規事業共創プログラム「39works」の取り組みの一環として、「MetaMe」の先行提供を行っています。
参考. 「39works」の取り組み
「39works」は、新しく価値のある事業を変化に挑むパートナーと生み出し、社会にインパクトを起こしていく新規事業共創プログラムです。一企業では成し遂げられないであろう世の中にまだない価値の創出をめざして、それぞれの得意分野を持ち寄り、一つのチームとなって挑戦していきます。2014年の開始以降、これまで、1,200件以上の企画、40件以上の事業化、内2件の子会社化を実現してきました。
「39works」は、社会変革基点と顧客価値基点の両輪にて事業創出をおこなっています。社会変革基点の事業創出は、技術進化と社会変化の掛け算から描く未来のあたりまえを、共感する仲間と創出します。
顧客価値基点の事業創出は、顧客と向き合いながら未来の新しい価値を、共感する仲間と創出します。
■「39works」サイト
https://www.39works.net/
※1サービス利用状況により、登録を制限する場合もあります。
※2「Selective Forwarding Unit」の略称。サーバーを介して音声や映像をやりとりする技術。サーバーは端末から音声・映像データを受け取り、それをそのまま他の端末に配信する。
※3「MetaMe」利用者の許諾を得た発話情報や、「MetaMe」内での「Community World」移動の履歴データ
※4NTT研究所が取り組む人のデジタルツインを作る技術(Another Me®)を活用しています。Another Meの個人性抽出技術により人を理解した結果と、本人の様に話すことができるAnother Meの個人性再現対話技術を組み合わせることで、「MetaMe」の中に登場するペットが飼い主と共通の興味や関心を持っているかの様に話すことができる機能を実現いたしました。
他にも、音声認識技術、感情認識技術、焦点語抽出技術などを活用しております。将来的な取り組みとして、NTT研究所で開発中の脳波解析等を用いた新しいコミュニケーション技術(感性コミュニケーション)の「MetaMe」での活用についても検討しています。
◆関連報道発表(日本電信電話株式会社)
人との繋がりを生み出す次世代アバターUX技術の開発 (2023年2月1日発表)
https://group.ntt/jp/newsrelease/2023/02/01/230201a.html
※5江戸時代、讃岐の金毘羅大権現(今の金刀比羅宮)への参拝は庶民にとっては一生に一度の夢でしたが、当時の人々にとってはこの長旅はとても大変なことでした。そこで他の人に代理で参拝を依頼することも多く行われていました。代理で参拝するのは人だけでなく、犬が行うこともあったそうで、人々は代理で参拝する狗を特に「こんぴら狗」と呼んだそうです。琴平Community Worldでは「こんぴら狗」を連れて金刀比羅宮に一緒に参拝することができます。
※「MetaMe」、「39works」は、株式会社NTTドコモの商標または登録商標です。
※「J CLASS ACADEMY」は、株式会社宝島ワンダーネットの登録商標です。