太陽偏光観測のためのHAWAII-2RG 赤外線カメラ

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2020-12-03 国立天文台

太陽の偏光観測は、太陽大気の諸現象を支配する磁場を測定するために不可欠なものです。その中でも太陽表面のフィラメントの磁場測定は、時にフィラメントがコロナ質量放出の一部として惑星間空間へ噴出して磁気嵐の原因となることから、その研究の手がかりとして特に注目されています。フィラメント磁場とその変化を求めるには高い水準の偏光計測が必要であり、そのためには高速で大フォーマットの近赤外線検出器を利用することが求められますが、これは従来困難でした。

そこで私たちは、Teledyne社のHAWAII-2RG (H2RG) という検出器を使用した先進的な太陽偏光観測を実現すべく、開発を開始しました。H2RGは2048×2048画素の大フォーマット検出器で、高速読み出しモードを備えており、先進的な太陽偏光観測用として適合していると言えます。しかしながらこれまでは、偏光観測には不可欠な外部デバイス (偏光変調装置など) の動作とH2RGの読み出しを同期することが、高速読み出しモードでは実現できていませんでした。私たちはこの問題を、Markury Scientific社による新開発のインターフェースボードであるMACIEと、やはり新開発のH2RG制御プログラムを導入することによって解決しました。これにより、H2RGを使用して偏光変調装置との同期をとりつつ、毎秒29フレームといった高速に画像を読み出せる近赤外カメラシステムを開発することができました。

H2RG

右上の図は、本カメラを京都大学飛騨天文台のドームレス太陽望遠鏡に取り付けて、実際の太陽偏光観測データ取得を行っている様子です。

本研究は、科研費新学術領域研究「太陽地球圏環境予測」(15H05814) の分担分及び国立天文台研究推進費の援助を受けて行われました。

文献
Y. Hanaoka et al.: “A HAWAII-2RG infrared camera operated under fast readout mode for solar polarimetry”, Earth, Planets and Space 72, 181, 2020

(doi: 10.1186/s40623-020-01318-8).

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