どこにでもあるプラスチックを生分解性に転換する方法 (How to Make Ubiquitous Plastics Biodegradable)

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2024-05-14 ドイツ連邦共和国・ルール大学ボーフム(RUB)

どこにでもあるプラスチックを生分解性に転換する方法 (How to Make Ubiquitous Plastics Biodegradable)

・ RUB とスイス連邦・ポールシェラー研究所(PSI)を含む国際研究チームが、スチレン分解における微生物の酵素の重要な役割について報告。
・ パッケージング等で最も幅広く使用されているポリスチレンは、スチレンを構成要素とする。生物学的手法による生産・リサイクルが可能なポリエチレン(PET)とは異なり、ポリスチレンは化学的プロセスで生産され、生分解できない。
・ スチレンは毎年数百万トンが製造・輸送され、それらの過程で一部が意図せず環境中に放出されている。スチレンはコールタール、亜炭タールや植物のエッセンシャルオイルに微量に含まれることもあり、植物原料の分解過程で生成されている。
・ 細菌、真菌や人体は、酸素の助けを借りてスチレンを活性化し、スチレンオキシドを生成する。スチレン自体にも毒性があるが、スチレンオキシドはさらに有害な物質であるため、迅速に代謝されることが重要。
・ 特定の微生物や人体でのスチレンオキシドの生成過程で生成されるエポキシドがグルタチオン抱合を経て水溶性となり、分解・排出されやすくなる。この抱合プロセスは超高速で、グルタチオン分子はスチレンオキシドの全ての分子によって使用されている。
・ 微生物の中には、スチレンオキシドイソメラーゼ(SOI)と呼ばれる膜タンパク質(膜結合型酵素)を通じてエポキシドを分解する、より効率的な変異種が存在する。スチレン資化性細菌である Rhodococcus の SOIは、触媒効率が高く、追加的な補基質も不要で、有機物に含まれる有毒なスチレンオキシドを迅速に分解する。SOI はまた、化学合成分野でのアプリケーションの可能性も期待できる。
・ 本研究では、SOI が 3 個の同一ユニットを持つ三量体として存在し、その構造解析により、各サブユニット間にあるヘム補因子が鉄イオンを含むことを確認。
・ ヘムはアクティブポケットの重要な部分を形成し、基質の固定や変換に関与している。ヘム補因子の鉄イオンが、スチレンオキシドの酸素原子を配位結合することで基質を活性化させるといった、タンパク質におけるヘムの新しい生物学的機能を包括的に解明した。
・ 本研究は、PSI、シンガポール国立研究財団(NRF)およびシンガポール教育省(MOE)が支援した。
URL: https://news.rub.de/english/press-releases/2024-05-14-biotechnology-how-make-ubiquitous-plastics-biodegradable

<NEDO海外技術情報より>

関連情報

Nature Chemistry 掲載論文(フルテキスト)
Structural basis of the Meinwald rearrangement catalysed by styrene oxide isomerase
URL: https://www.nature.com/articles/s41557-024-01523-y

Abstract

Membrane-bound styrene oxide isomerase (SOI) catalyses the Meinwald rearrangement—a Lewis-acid-catalysed isomerization of an epoxide to a carbonyl compound—and has been used in single and cascade reactions. However, the structural information that explains its reaction mechanism has remained elusive. Here we determine cryo-electron microscopy (cryo-EM) structures of SOI bound to a single-domain antibody with and without the competitive inhibitor benzylamine, and elucidate the catalytic mechanism using electron paramagnetic resonance spectroscopy, functional assays, biophysical methods and docking experiments. We find ferric haem b bound at the subunit interface of the trimeric enzyme through H58, where Fe(III) acts as the Lewis acid by binding to the epoxide oxygen. Y103 and N64 and a hydrophobic pocket binding the oxygen of the epoxide and the aryl group, respectively, position substrates in a manner that explains the high regio-selectivity and stereo-specificity of SOI. Our findings can support extending the range of epoxide substrates and be used to potentially repurpose SOI for the catalysis of new-to-nature Fe-based chemical reactions.

0504高分子製品
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