2024-08-22 NEC
自動運転に向けた研究開発は、NECをはじめ多くの企業が取り組んでいますが、実際に人や車が行き交う道路で実証を行うことは簡単ではありません。特に高速道路となるとなおさらです。今回は、建設中の高速道路で実証を行える貴重な機会がありました。一般車両は通行しておらず、かつ本物の高速道路なので技術の実証には最適な環境です。実験場はNEXCO中日本の新東名高速道路の新御殿場IC付近の約3.1kmの区間。NEC独自のセンシング技術や最新ネットワーク技術を実証現場に適用し、安全・安心な自動運転社会の実現に向けて着実に歩みを進めています。
「路車協調」 情報をリアルタイムに活用するNECならではのアイデア
自動運転というと「車に搭載したセンサー」で路上の障害物の情報を検知して回避する、というようなイメージがありますが、今回実証を行ったのは「道路側に設置されたセンサー」の情報をリアルタイムに活用する「路車協調システム」です。
路車協調システム 実証のイメージ図
車載センサーでは検知が困難な数百メートルから数十キロ先の突発的に発生する道路状況を知ることができるのが特長で、道路全体の交通情報を常に活用することで安全性の向上や渋滞の抑制などに貢献できる。自動運転時代の安全・安心に大きく寄与することができます。
路車協調システムの取り組み自体は以前からありましたが、NECならでのユニークなアイデアは、高速道路を数百メートルの短い区間に区切り、独立して処理することでリアルタイムに路車協調を行うというものです。
例えば、「1キロ先に速度が落ちた車がいる」などの情報を後続のクルマに即時に伝えることで、車線変更や速度調整などの対応ができます。従来は、高速道路の全線の情報を一旦中央の道路管制センターに集め、まとめて処理・対応する方式が一般的でした。様々な場所からの情報を集め、定期的に締め切ってから処理を行うため、一定のタイムラグが発生してしまいます。
現在NECが検討している方式では、現場付近の拠点で独立して処理を行うため、「その場で必要とされる情報」をリアルタイムに処理できます。短い区間をどんどんつなげて、高速道路全線での現場の状況に即した路車協調が実現する未来を目指しています。
NECの培ったインフラと信頼 「事故と渋滞のない社会へ」
新東名を管轄するNEXCO中日本ではNECの光ファイバセンシングが納入されており、今回の実証を行った区間の道路脇にも光ファイバが敷設されています。従来のセンサーは、スポット観測で通常「一定間隔」ごとに設置されますが、光ファイバは「線」でつながっているため、「連続的に検知」することが可能になり、この新たな取り組みに貢献します。
光ファイバをセンサーとして活用
NECトランスポートシステム統括部 長野英俊
このプロジェクトをリードするNECトランスポートシステム統括部の長野英俊は、ドローンの演技飛行を例に挙げ「NECの技術を使えば、将来、高速道路でも同じようなことができるのでは」とイメージを語ります。AIや通信技術、センシング技術などの幅広い領域で、高い技術や豊富な実績を持っているNECだからこそ、高速道路を実験場とした貴重な実証にも参加し、システム実現に向けて精度を高めていくことができます。
こうした実証を積み重ね「多くのクルマが連携し交通状況に応じて整然と車間距離を保って走れるようになれば、事故や渋滞を減らせます」と長野は力を込めます。
建設中の新東名が完成した後の未来に、今回の実証が必ず役に立つ。自動運転を見据えた事故や渋滞をなくす取り組みに、NECは最新技術と長年の経験に基づく創造力で貢献します。その先にあるのはNECがPurposeに掲げる「安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会」の実現です。