2023-07-19 日本原子力研究開発機構
- 日本原子力研究開発機構(JAEA)と英国国立原子力研究所(NNL)のチームが、英国の高温ガス炉実証炉プログラムの基本設計を行う事業者として採択されました。
- また、NNLは高温ガス炉燃料開発プログラムの製造技術開発等を行う事業者として採択され、JAEAはNNLと連携し、英国における燃料製造技術開発を進めます。
- JAEAはNNLと連携して、我が国の高温ガス炉技術の国外実証を進め、英国で社会実装し、脱炭素技術の我が国への還元を目指します。
【英国高温ガス炉実証炉及び燃料開発プログラム】
英国政府は、温室効果ガス排出ネットゼロ達成に向け、電力分野では軽水炉、非電力分野では革新炉として高温ガス炉を選択し、2022年9月から高温ガス炉実証炉プログラムを開始しました。このプログラムは3段階により行われ、フェーズ A(事前概念検討、2023年2月終了)、フェーズ B(基本設計、2025年終了予定)、フェーズ C(許認可、建設、2030年代初期運転開始)と進められます。英国エネルギー安全保障・ネットゼロ省(DESNZ)は、本年7月18日付け(現地時間)でJAEAとNNLのチームをフェーズ Bの事業者として採択したことを公表しました。
また、DESNZは、高温ガス炉実証炉用の燃料開発プログラム(ステップ 1)の開始を公表しました。DESNZは、NNLを燃料製造技術開発と大規模化を行うステップ 1プログラムの事業者として選定し、JAEAはNNLと連携し、英国における燃料製造技術開発を進めます。
各プログラムの実施に当たり、今後JAEAとNNLは、契約を締結する予定です。
高温ガス炉は、核熱を用いて高温熱の供給が可能であり、これを用いて脱炭素化が困難とされる製鉄分野、化学工業分野等へ水素、高温蒸気等を供給することで2050年温室効果ガス排出ネットゼロに向けた貢献が為し得ると我が国及び英国で期待されています。JAEAはNNLと連携し、我が国の高温ガス炉技術の国外での実証及び英国での社会実装を進めます。これらの成果を国内高温ガス炉実証炉計画に活かすとともに、国内実証炉の燃料調達のオプションとすることで、脱炭素化技術の我が国への還元を目指します。