火山の地下で観測されたマグマの意外なルート(Magma observed taking an unexpected route beneath volcanoes)

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インペリアル大学の研究者らは、マグマが火山の地下を意外な経路で移動しているのを観測し、噴火の背後にあるプロセスを明らかにしました。 Imperial researchers have observed magma taking an unexpected route beneath volcanoes, shedding light on the processes behind eruptions.

2023-02-06 インペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)

◆今回の発見は、東カリブ海地域の地殻変動プレート境界のデータに基づいています。この結果は、火山噴火の種類や速度、噴出したマグマの組成を決定する要因の解明に役立つものです。また、なぜある火山が他の火山より活発なのか、なぜ火山活動が時間とともに変化するのかを理解するのにも役立つと思われます。
◆2枚の巨大な地殻変動プレートが衝突すると、一方のプレートが他方のプレートの下に沈み込み、地球のマントルに突入して水を放出し、融解することがある。このような沈み込み帯は、地震や火山噴火の原因となる。
◆しかし、マグマが地下でどのように形成されるのか、また、プレートの上にある火山の正確な位置を制御するものは何か、まだ十分に解明されていない。
◆今回、『Science Advances』誌に掲載された新しい研究は、上昇するマグマが最終的に噴火する際に、必ずしも地表の火山に到達するための最短・最短経路をとらないことを示したものである。
◆沈み込む海洋プレートは、地球深部に水を運ぶ巨大な貯水池の役割を担っています。海底プレートは、その誕生時に形成された割れ目や断層を通り、その後、地球の深海の海溝の下で屈曲する。このとき、水は割れ目に閉じ込められ、プレート内の鉱物と結合する。
◆沈み込むプレートは、深さ10〜100kmまで沈み込むと、高い圧力と温度にさらされる。このような過酷な条件下で、閉じ込められていた水や他の揮発性元素が追い出される。この流体は、環太平洋火山帯のように、地球の海の端にある火山帯で最終的に噴出するマグマの主要な成分である。しかし、沈み込むプレートから火山弧まで、流体や溶融物が地球の奥深くでどのような経路をたどっているかは、直接見ることも、噴出したものから容易に推測することもできない。
◆この研究では、地震データを使って、CTスキャンで体の内部構造を調べるように、地震の吸収を3Dで表したのです。地震による地震エネルギーがさまざまな物質を通過するとき、波は遅くなったり速くなったりします。この速度の変化とともに、波のエネルギーも散逸します。特に、高温で溶けた岩石は、地震波が通過する際にそのエネルギーを奪ってしまうのです。
◆研究チームは、小アンティル諸島の火山島をもたらした東カリブ海の沈み込み帯から地震データを収集し、海底地震計を使って地下の正確な3D画像を作成した。
◆その結果、深部で地震波が最も強く減衰する領域が、火山の下から横にずれていることが分かりました。これらの画像から、著者らは、沈み込むプレートから排出された水はさらに下方に運ばれ、火山フロントの背後でマントルの融解につながったと結論づけた。そして、溶融物は、火山弧の方向に運ばれる前に、オーバーライドプレートの底に溜まったと考えられる。

<関連情報>

スラブからバックアーク、アークへ:小アンティル諸島下のマントルウェッジを通る流体およびメルトの経路 Slab to back-arc to arc: Fluid and melt pathways through the mantle wedge beneath the Lesser Antilles

Stephen P. Hicks,Lidong Bie,Catherine A. Rychert ,Nicholas Harmon,Saskia Goes,Andreas Rietbrock ,Songqiao Shawn Wei,Jenny S. Collier,Timothy J. Henstock,Lloyd Lynch,Julie Prytulak ,Colin G. Macpherson,David Schlaphorst ,Jamie J. Wilkinson,Jonathan D. Blundy,George F. Cooper,Richard G. Davy,John-Michael Kendall ,VoiLA Working Group
Science Advances  Published:1 Feb 2023
DOI:https://doi.org/10.1126/sciadv.add2143

Abstract

Volatiles expelled from subducted plates promote melting of the overlying warm mantle, feeding arc volcanism. However, debates continue over the factors controlling melt generation and transport, and how these determine the placement of volcanoes. To broaden our synoptic view of these fundamental mantle wedge processes, we image seismic attenuation beneath the Lesser Antilles arc, an end-member system that slowly subducts old, tectonized lithosphere. Punctuated anomalies with high ratios of bulk-to-shear attenuation (Qκ−1/Qμ−1 > 0.6) and VP/VS (>1.83) lie 40 km above the slab, representing expelled fluids that are retained in a cold boundary layer, transporting fluids toward the back-arc. The strongest attenuation (1000/QS ~ 20), characterizing melt in warm mantle, lies beneath the back-arc, revealing how back-arc mantle feeds arc volcanoes. Melt ponds under the upper plate and percolates toward the arc along structures from earlier back-arc spreading, demonstrating how slab dehydration, upper-plate properties, past tectonics, and resulting melt pathways collectively condition volcanism.

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1702地球物理及び地球化学
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