バイオマスを利用した「省エネ型エビ養殖統合システム」をベトナムで本格稼働~環境に配慮した新システムでエビ養殖の確立を目指す~

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2024-08-05 新エネルギー・産業技術総合開発機構

NEDOは、助成事業である「脱炭素化・エネルギー転換に資する我が国技術の国際実証事業」(以下、本事業)の一環として「地域のバイオマスを利用した省エネ型エビ養殖システム高度化実証研究」(以下、本実証研究)に取り組んでいます。今般、バイオマスを利用した「省エネ型エビ養殖統合システム」(以下、本システム)を本格的に稼働し、7月24日にベトナム南部・ティエンザン省にある現地企業TH AQUA社で開所式を行いました。

本システムは、養殖の汚泥と現地で生産されているレモングラスの廃棄物を混合したバイオマスから生成されるバイオガスを燃料とした固体酸化物形燃料電池(以下、SOFC)を活用して発電するもので、SOFCによるエビ養殖は日本発の取り組みとしては初めてのケースとなります。

今後はIoTを活用し、エビの養殖環境と育成状況の相関性を見い出し、最適化することで養殖効率の向上を図ります。

バイオマスを利用した「省エネ型エビ養殖統合システム」をベトナムで本格稼働~環境に配慮した新システムでエビ養殖の確立を目指す~
図1  実証システムのイメージ

1.背景

本事業※1は、安全性や環境適合、脱炭素化、経済性、安定供給の実現につながる日本の先進的技術の海外実証を通じて、実証技術の普及に結び付けるとともに、日本への成果の還元を目指します。これらの取り組みを通じて、日本のエネルギー関連産業の国内外への展開、国内外のエネルギー転換・脱炭素化などを目的としています。

ベトナムでは、多くの事業者がエビの養殖にあたって、抗生物質などの使用を通例としています。ベトナム政府は、化学物質から脱却し、生産性と品質の向上を図りながら持続可能なエビ養殖の構築を目指しています。しかし、エビ養殖から出る汚泥の処理手法が確立されておらず、化学物質を含む汚泥の廃棄による河川および周辺土壌の汚染が、社会的な課題となっています。

このような背景のもと、NEDOは2020年度から本事業の一環として本実証研究に取り組んでいます。本システムは、エビ養殖汚泥に加えて、現地で生産されているレモングラスの廃棄物を混合したバイオマスから生成されるバイオガスを燃料としたSOFCを用いて発電させ養殖に必要な電力を賄うもので、SOFCによるエビ養殖は日本発の取り組みとしては初めてのケースとなります。

2.「省エネ型エビ養殖統合システム」の実証を本格稼働

メコンデルタ地域の主要産業であるエビをはじめとした水産物の養殖には、水中への酸素供給などを行うための安定的な電力供給が不可欠ですが、近年は電力需要の増加に伴い、電力の安定供給が大きな課題となっています。また、ベトナムの電力事情に加え、養殖事業の拡大による一層の電力需要の増加が懸念されています。

本実証研究は、ベトナムにおける主要産業の安定的発展に寄与するものとしてティエンザン省人民委員会からの支援を受けて実証実現に向けた現地調査、関係者との協議を進め、本システムの本格稼働を実現※2しました。

3.開所式

本システムの本格稼働を受け、7月24日にベトナム ティエンザン省にあるTH AQUA社の実証サイトにおいてNEDOとの意向表明書(LOI)の締結パートナーである農業農村開発局(DARD)局長、在ホーチミン日本国総領事館などから多数の来賓出席のもと、開所式を行いました。

今後はIoTを活用してエビの養殖環境と育成状況の相関性を見い出し、最適化することで養殖効率の向上を図り、地元経済に貢献する事業になるよう実証研究を進めます。

テープカットの様子の画像
図2 テープカットの様子

【注釈】
※1 本事業
※2 本システムの本格稼働を実現
関連記事「ベトナム ティエンザン省DARDと省エネルギー分野の国際実証事業に関する意向表明書に署名」
4.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO 海外展開部 担当:佐藤、宮崎、森田

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 経営企画部 広報企画・報道課

1401漁業及び増養殖
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