2024-05-09 アメリカ合衆国・国立再生可能エネルギー研究所(NREL)
・ SAFFiRE Renewables, LLC が、バイオ燃料を製造するパイロットプラント事業をカンザス州のリベラル市近辺にて 2024 年末頃に開始する。同社は、NREL が開発した脱アセチル化および機械的精製(deacetylation and mechanical refining: DMR)技術のライセンス契約を 2023 年に締結している。
・ DMR 技術は、過去のセルロース系バイオ燃料製造施設における課題に対処したもので、「マイルド」なアルカリ浴と粉砕機を使用してエタノール発酵用のコーンスト―バーを処理する。非腐食性の化学物質の使用で毒性を抑え、高圧反応器に代わり低温・低圧で動作する非加圧タンクを採用し、大量のバイオマスを迅速に供給する。小規模研究では、同技術が資本コストと運転コストを削減し、エタノールへと発酵できる糖の製造効率と容易さを向上させることを確認している。
・ Conestoga Energy 社が運転する同パイロットプラントで製造されたエタノールは、LanzaJet 社のアルコール・ツー・ジェット技術を通じて持続可能な航空燃料(SAF)へアップグレードされる。この SAF のカーボンフットプリントは、従来のジェット燃料よりも少なくとも 83%低くなると推定される。
・ NREL の 10 年間の DMR 技術の研究が、セルロース系エタノールの課題解決に加え、バイオマス処理における新たな利点を提供する。今回、営利団体により DMR 技術がスケールアップされ、継続した統合的プロセスとして実現される。これは、公共部門と民間部門が各々の強みを貢献し合う優良な一例となる。
・ 同パイロットプラントの初期資金は米国エネルギー省(DOE)のバイオエネルギー技術局(BETO)が提供し、サウスウエスト航空が 50%を追加拠出する。同航空会社は、自社の航空機燃料として SAFFiRE のセルロース系エタノールと SAF の購入のオプションを有する。
・ 燃料の購入者、カーボンオフセット、そして NREL の DMR 技術が出揃ったパイロットプラントは、廃れてしまった第2世代のエタノール産業を復活させ、連邦政府の SAF 目標達成に向けた大きな機会となる。
・ 同パイロットプラントでは、毎日 10 トンのコーンストーバーの処理と、毎年約 30 万ガロンのセルロース系エタノールの生産が期待されている。これは、敷地内の大規模なコーンエタノール施設で生産される年間約 1 億ガロンに比べればほんの一部だが、SAFFiRE 社では同パイロットプラントを段階的に大規模化する一連の施設の最初の施設として使用する予定。
URL: https://www.nrel.gov/news/program/2024/nrel-biomass-technology-a-cornerstone-of-saffire-renewables-biofuel-pilot-plant-going-up-in-kansas.html
<NEDO海外技術情報より>
関連情報
NREL’s deacetylation and mechanical refining (DMR)
Low-Cost Cellulosic Sugars Produced by NREL’s Deacetylation and Mechanical Refining Proces
URL: https://www.nrel.gov/docs/fy22osti/83963.pdf