半導体テラヘルツ発振器の超高速振動ダイナミクスの計測と制御に成功 ~次世代無線通信やセンシングの高機能化へ~

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2024-07-03 京都大学

有川敬 理学研究科助教(現:兵庫県立大学准教授)、田中耕一郎 同教授(兼:高等研究院物質―細胞統合システム拠点(iCeMS)連携主任研究者)らの研究グループは、西上直毅 大阪大学修士課程学生(研究当時)、冨士田誠之 同准教授、永妻忠夫 同教授(現:同特任教授)、ローム株式会社らとの共同研究で、共鳴トンネルダイオードを用いた小型の半導体テラヘルツ発振器から放射されるテラヘルツ電磁波の波形計測と制御に成功しました。

近年の半導体微細加工技術の進展により、発振回路の周波数はエレクトロニクス技術の高周波限界領域であるテラヘルツ(1秒間に1兆回の振動)帯に達しています。ところが、オシロスコープのような電子計測器ではこのような超高速振動を観測することはできず、その振動状態の変化(ダイナミクス)を計測し、制御することは困難でした。

本研究グループは、光計測技術を応用することで、共鳴トンネルダイオードから放射されるテラヘルツ電磁波の振動電場波形を可視化し、そのダイナミクスを支配する基礎理論を明らかにしました。これにより位相情報を用いた超高速・大容量無線通信やスマートセンシング技術の実現が期待されます。

本研究成果は、2024年7月2日に、国際学術誌「Nature Communications」にオンライン掲載されました。

文章を入れてください
半導体テラヘルツ発振器から放射されたテラヘルツ電磁波の振動電場波形。
数ピコ秒(1ピコ秒は0.000000000001秒)周期の超高速振動波形が変化する様子を捉えた。

研究者のコメント

「研究構想の発案から実現まで約3年を要しました。前例のない実験で、うまくいかない期間が長かったのですが、必ず実現できるはずだという信念は揺らぐことはありませんでした。多くの方々の協力を得ながら実現できた時の喜びは今でも忘れられません。エレクトロニクス技術とフォトニクス技術を融合した本研究は、電波と光の境界領域であるテラヘルツ周波数帯ならではのものです。この研究がテラヘルツデバイス研究のさらなる発展につながることを期待しています。」(有川敬)

詳しい研究内容について

半導体テラヘルツ発振器の超高速振動ダイナミクスの計測と制御に成功―次世代無線通信やセンシングの高機能化へ―

研究者情報

研究者名:有川 敬
研究者名:田中 耕一郎

書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1038/s41467-024-48782-4
【書誌情報】
Takashi Arikawa, Jaeyong Kim, Toshikazu Mukai, Naoki Nishigami, Masayuki Fujita, Tadao Nagatsuma, Koichiro Tanaka (2024). Phase-resolved measurement and control of ultrafast dynamics in terahertz electronic oscillators. Nature Communications, 15, 5358.

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