2022年3月の地震活動の評価

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2022-04-11 地震調査研究推進本部,地震調査委員会

1.主な地震活動
○ 3月 16 日に福島県沖でマグニチュード(M)7.4 の地震が発生し、宮城県及び福島県で最大震度6強を観測した。この地震により宮城県で長周期地震動階級4を観測した。また、死者が出るなどの被害を生じた。
○ 3月 18 日に岩手県沖で M5.6 の地震が発生した。この地震により岩手県で最大震度5強を観測し、住家一部破損などの被害を生じた。

2.各領域別の地震活動
(1)北海道地方
○ 3月 27 日に日高地方東部(*1)の深さ約 55 ㎞で M5.1 の地震が発生した。この地震の発震機構は北西-南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。

(2)東北地方
○ 3月 16 日の福島県沖の地震については、別紙(2022 年3月 16 日福島県沖の地震の評価)を参照。
○ 3月 18 日に岩手県沖の深さ約 20 ㎞で M5.6 の地震が発生した。また、この地震の震源付近では、30 日に M4.9 の地震が発生した。これらの地震の発震機構は北北西-南南東方向に張力軸を持つ横ずれ断層型で、陸のプレートの地殻内で発生した地震である。 GNSS観測の結果によると、今回の地震に伴う有意な地殻変動は観測されていない。

(3)関東・中部地方
○ 2018 年頃から地震回数が増加傾向にあった石川県能登地方の地殻内では、 2020 年 12 月から地震活動が活発になっており、2021 年7月頃からさらに活発になっている。最大の地震は、2021 年9月 16 日に発生した M5.1 の地震である。 2022 年3月以降も、3月8日に M4.8、3月 23 日と4月4日に M4.3、4月8日に M4.2 の地震が発生するなど、活発な地震活動は継続している。2022 年3月1日から4月 11 日 08 時までに震度1以上を観測する地震が 33 回、このうち震度3以上を観測する地震が8回発生した。2020 年 12 月1日から 2022 年4月 11 日 08 時までに震度1以上を観測する地震が 115 回発生した。GNSS観測の結果によると、2020 年 12 月頃から、石川県能登町の能都(のと)観測点が南南西に累積で1cm を超える移動、及び珠洲(すず)市の珠洲観測点が累積で3cm を超える隆起などの地殻変動が、能登半島で観測されている。これまでの地震活動及び地殻変動の状況を踏まえると、一連の地震活動は当分続くと考えられる。
○ 3月 31 日に東京湾(*2)の深さ約 75 ㎞で M4.7 の地震が発生した。この地令 和 4 年 4 月 1 1 日地震調査研究推進本部地震調査委員会 2 震の発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界で発生した地震である。この地震の震源付近では、2021 年 10 月7日に M5.9 の地震が太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界で発生していた。

(4)近畿・中国・四国地方
○ 3月 31 日に京都府南部の深さ約 15 ㎞で M4.4 の地震が発生した。この地震の発震機構は東西方向に圧力軸を持つ横ずれ断層型で、地殻内で発生した地震である。

(5)九州・沖縄地方
○ 沖縄本島北西沖の陸のプレート内で、1月 30 日から活発な地震活動が見られており、4月 11 日 08 時までに震度1以上を観測する地震が 36 回発生した。このうち3月1日から4月 11 日 08 時までに 23 回発生した。2月9日に M5.6、2月 22 日に M5.8、3月 17 日に最大の M5.9、3月 30 日に M5.5 の地震が発生した。GNSS観測の結果によると、2022 年2月頃から、沖縄県久米島町の具志川(ぐしかわ)観測点が南東に1cm 弱移動するなどの地殻変動が観測されている。今回の地震活動域付近は、過去にもまとまった地震活動が見られたことがある地域であり、1980 年2月から3月にかけて、及び 2007 年8月に M6.0 以上の地震を含むまとまった活動があった。1980 年2月から3月にかけての活動では、 M6.7 と M6.3 の地震が発生した。
○ 3月6日に奄美大島近海で M5.1 の地震が発生した。
○ 3月 19 日に石垣島北西沖の深さ約 170 ㎞で M5.9 の地震が発生した。この地震の発震機構は北西-南東方向に圧力軸を持つ横ずれ断層型で、フィリピン海プレート内部で発生した地震である。

(6)南海トラフ周辺
○ 南海トラフ沿いの大規模地震の発生の可能性が平常時と比べて相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていない。

(7)その他の地域
○ 3月 23 日に台湾付近の深さ約 30 ㎞(CMT 解による)で M6.6 の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西-東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型であった。

補足(4月1日以降の地震活動)
○ 4月2日に茨城県北部の深さ約 55km で M4.4 の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西-東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。
○ 4月4日に福島県沖の深さ約 45km で M5.4 の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西-東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。

*1:気象庁が情報発表で用いた震央地域名は「十勝地方南部」である。
*2:気象庁が情報発表で用いた震央地域名は「千葉県北西部」である。
3 注:GNSSとは、GPSをはじめとする衛星測位システム全般をしめす呼称である。

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1702地球物理及び地球化学
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