寝室にスーパーコンピューターを:デスクトップ PC で哺乳類脳をシミュレートする可能性を提示

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(Supercomputer in your bedroom: Researchers unleash potential of desktop PCs to run simulations of mammals’ brains)

2021/2/2 英国・サセックス大学

・ サセックス大学が、高価なスーパーコンピューターと同等の能力をデスクトップ PC に付与する技術を開発。
・ 最新型のグラフィクスプロセッシングユニット(GPU)の使用により、デスクトップ PC にあらゆる規模の脳モデルのシミュレート能力を付与する同イノベーションは、世界中の研究者らが神経疾患の調査等の大規模な脳シミュレーション研究を実施できるようにする。
・ スパイキングニューラルネットワークモデルの大規模なシミュレーションは、脳のダイナミクスと機能の理解を深めるための重要なツール。しかし、ネズミのような小さな哺乳類でも 1×1012 オーダーのシナプス結合を有するため、シミュレーションには数テラバイトのデータが必要となる。これは、デスクトップマシーン 1基では非現実的なメモリ必要量。
・ スーパーコンピューターは極めて高額なため、大規模な組織や政府機関に限りアクセスが可能となっている。新技術は、スーパーコンピューターの高コストを節約するだけでなく、エネルギー消費量も約 10倍低減する。
・ 本研究は、2006 年開発の大規模なブレインシミュレーション技術をベースとしているが、同技術の利用には当時のコンピューターの速度が不十分であった。
・ 15 年前の約 2,000 倍の計算能力を備えた現在の GPU に 2006 年開発の技術を応用し、これまではスーパーコンピューターのみでのシミュレーションが可能であった、4.13×106 のニューロンと 24.2×109のシナプスを持つマカク属サルの視覚野の最先端モデルを構築した。
・ このような GPU 加速によるスパイキングニューラルネットワークシミュレーターでは、GPU の膨大な計算能力を利用して「手続き的に」接続性とシナプス荷重をスパイクのトリガー毎に即座に創出。メモリでの接続情報の記憶が不要となる。
・ モデル初期化を 6 分間で完了し、生物学的時間のシミュレーションには基底状態で 7.7 分間、静止状態で 8.4 分間と、スーパーコンピューターによるシミュレーションよりも 35%短い時間で実行できた。2018年、IBM Blue Gene/Q スーパーコンピューター(1 ラック)での同モデルの初期化には約 5 分間、生体時間の 1 秒間のシミュレーションには約 12 分間を要した。
・ 同研究結果は、GPU ハードウェアでの手続き型接続性の進展を実証するだけでなく、手続き型接続性に向けて基礎から構築する新タイプのニューロモーフィックハードウェアの開発の可能性をも提供するものと考える。
・ 計算論的神経科学や AI 研究者らによるローカルなワークステーションでの脳回路のシミュレーションを可能にするゲームチェンジャーとなるだけでなく、学術的環境外の人々のゲーム用 PC をスーパーコンピューターに転換し、大規模なニューラルネットワークの実行を可能にする。
URL: https://www.sussex.ac.uk/news/research?id=54567

<NEDO海外技術情報より>

(関連情報)

Nature Computational Science 掲載論文(アブストラクトのみ:全文は有料)
Larger GPU-accelerated brain simulations with procedural connectivity
URL: https://www.nature.com/articles/s43588-020-00022-7

Abstract

Simulations are an important tool for investigating brain function but large models are needed to faithfully reproduce the statistics and dynamics of brain activity. Simulating large spiking neural network models has, until now, needed so much memory for storing synaptic connections that it required high performance computer systems. Here, we present an alternative simulation method we call ‘procedural connectivity’ where connectivity and synaptic weights are generated ‘on the fly’ instead of stored and retrieved from memory. This method is particularly well suited for use on graphical processing units (GPUs)—which are a common fixture in many workstations. Using procedural connectivity and an additional GPU code generation optimization, we can simulate a recent model of the macaque visual cortex with 4.13 × 106 neurons and 24.2 × 109 synapses on a single GPU—a significant step forward in making large-scale brain modeling accessible to more researchers.

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