新型コロナウイルス感染者では気管支喘息の基礎疾患保有率が有意に少ない

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アレルギー患者では、新型コロナウイルスが上皮細胞への侵入に用いる受容体の発現が低下している可能性

2020-06-02 国立成育医療研究センター

国立成育医療研究センター(所在地:東京都世田谷区大蔵、理事長:五十嵐隆)の免疫アレルギー・感染研究部の松本健治部長と斎藤博久所長補佐は、世界3カ国(中国、米国、メキシコ)の8つの地域で行われた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の発症や重症化に関連する背景因子を検討した論文をメタ解析し、その地域での喘息の有病率と比べて、新型コロナウイルス感染者では気管支喘息の基礎疾患保有率が有意に少ないことを見いだしました。また、新型コロナウイルス感染症の重症者には有意に慢性閉塞性肺疾患(COPD)や糖尿病の合併が多いのに対し、気管支喘息の合併は重症化とは相関していませんでした。これらのことは、気管支喘息患者が新型コロナウイルスに感染しにくい可能性を示唆しています。

また、基礎研究でもアレルギー疾患に関連するサイトカイン(インターロキシン13: IL-13)が、新型コロナウイルスが上皮細胞に侵入する際に結合する分子(アンジオテンシン変換酵素2:ACE2)の発現を低下させ、逆に気管支喘息患者が産生しにくいと考えられるサイトカイン(インターフェロン)がACE2の発現を増強することも報告されています。

pr20200602.pngの画像

プレスリリースのポイント
  • 中国、米国、メキシコの8都市から報告された合計17,485名の新型コロナウイルス患者のうち、気管支喘息の合併率は5.27%。一方、当該国の一般集団での気管支喘息の有病率は7.95%であり、患者群の方が有意に低かった。
  • このことは、気管支喘息患者が新型コロナウイルスに罹りにくいことを示唆している。
  • 中国と米国の新型コロナウイルス患者合計2,199名(軽症者1,193名と重症者1,006名)の中で、慢性閉塞性肺疾患患者と糖尿病患者の比率は有意に重症者に多かった。しかし、気管支喘息患者の比率には差がなかった。
  • このことは、気管支喘息の存在は新型コロナウイルス感染症の重症化とは相関していないことを示唆する。
  • 試験管内での鼻粘膜上皮細胞や気道上皮細胞の新型コロナウイルスの受容体(ACE2)の発現は、IL-13で刺激する(喘息患者の状態に近い)と減弱し、インターフェロン(IFN-/)で刺激すると増強する。また、ACE2の発現強度はアレルギーの強さの指標と逆相関していた。
  • アレルギー疾患患者の気道上皮細胞でのACE2の発現は健常者に比して低い。
  • 気管支喘息患者では、新型コロナウイルスと同じくACE2を受容体とするSARSウイルス(SARS-CoV)の感染も少なかったと報告されている。
発表論文情報

Kenji Matsumoto, and Hirohisa Saito. Does asthma affect morbidity or severity of Covid-19? Journal of Allergy and Clinical Immunology 2020 In Press

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