ヒト脳の新しい加齢バイオマーカーを発見 -脳萎縮のメカニズム解明へ向けて

2020-05-21 京都大学

上田敬太 医学研究科講師、村井俊哉 同教授、麻生俊彦 理化学研究所副チームリーダー、杉原玄一 東京医科歯科大学准教授らの研究グループは、磁気共鳴画像法(MRI法)の新しい手法を用いて、ヒト脳の「静脈排出」パターンが加齢とともに変化することを発見し、加齢や脳損傷に伴う静脈排出不全が「脳室の拡大」を引き起こすメカニズムを初めて提示しました。

今回、本研究グループは、脳血管障害を検出するためのMRI法(ラグマッピング法)を、脳の表面や深部における静脈の血液の流れの検出に応用しました。約300名の被験者を対象に、従来法では観察が困難だった脳の静脈排出を詳細に解析した結果、そのパターンが、加齢や脳損傷の影響を受けて変化することを突き止めました。この変化は脳室の拡大に先行して現れたことから、静脈排出異常が脳室拡大の原因であることが示唆されました。

本研究成果は、脳の静脈排出パターンを加齢バイオマーカーとすることで、脳萎縮の指標となる脳室拡大の原因究明や老化予防の新しいアプローチへの展開、さらには高齢者に特有の脳室が異常に拡大する疾患「特発性正常圧水頭症」の解明への手がかりとなると期待できます。

本研究成果は、2020年5月6日に、国際学術誌「Brain」のオンライン版に掲載されました。

図:本研究で見いだされた静脈排出の加齢変化を示すグラフ(左)と脳静脈構造(右)

詳しい研究内容
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