触媒設計を加速するデータ分析プラットフォームを開発 ~触媒インフォマティクスによる触媒開発~

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2020-04-21 北海道大学,科学技術振興機構

ポイント
  • 人工知能を自然科学に適用し触媒開発を加速させるためのプラットフォームの開発に成功。
  • データ可視化や機械学習をプログラミングなしで実行できる上、触媒データセンター機能も搭載。
  • 効率的かつ直接的な触媒設計の加速に期待。

北海道大学 大学院理学研究院の髙橋 啓介 准教授、藤間 淳 特任准教授、宮里 一旗 特任助教および髙橋 ローレン 学術研究員らの研究グループは、触媒データをオープンに共有でき、プログラミングを必要としない機械学習・データ可視化を可能とした触媒インフォマティクス・プラットフォーム「Catalyst Acquisition by Data Science」(通称CADS)の開発に成功しました。

近年、人工知能(AI)-データ科学-を自然科学に適用し、触媒開発を加速させる動きが活発化しています。このような試みを触媒インフォマティクスと呼び、新規の研究分野として学術界・産業界から注目されています。触媒インフォマティクスは多くの技術の融合分野のため専門性が高い上、高度なプログラミング技術が必要です。また、各々の触媒研究者の所有するデータを蓄積・共有するデータセンターが存在しないことも、触媒インフォマティクスを推進する上で大きな障害でした。

研究グループはこれらの障壁を取り払うため、ウェブブラウザ上での簡単なマウス操作で触媒インフォマティクスを用いて触媒設計できるプラットフォームを開発しました。これにより、ウェブブラウザ上で研究者が持つデータの可視化や機械学習による触媒設計が可能になる上、触媒データの公開により世界の触媒研究者との情報共有も可能とし、触媒データセンターとしての役割も果たします。実際にOCM(メタン酸化カップリング)触媒データをCADSで分析し、CADSのインタラクティブ可視化などによって、OCMの反応収率に影響する要因の切り口を見いだしました。今後、CADSの普及により、データ駆動型の効率的かつ直接的な触媒設計が加速すると期待されます。

本研究成果は、2020年4月20日(英国夏時間)公開の「Reaction Chemistry & Engineering」に掲載(オンライン公開)される予定です。

本研究は、国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 CREST研究領域「多様な天然炭素資源の活用に資する革新的触媒と創出技術」(研究総括:上田 渉)研究課題「実験・計算・データ科学の統合によるメタン変換触媒の探索・発見と反応機構の解明・制御」(研究代表者:髙橋 啓介)の支援を受けて実施されました。

<プレスリリース資料>
触媒設計を加速するデータ分析プラットフォームを開発
~触媒インフォマティクスによる触媒開発~

ポイント

・人工知能を自然科学に適用し触媒開発を加速させるためのプラットフォームの開発に成功。
・データ可視化や機械学習をプログラミングなしで実行できる上,触媒データセンター機能も搭載。
・効率的かつ直接的な触媒設計の加速に期待。概要
北海道大学大学院理学研究院の髙橋啓介准教授,藤間淳特任准教授,宮里一旗特任助教および髙橋ローレン学術研究員らの研究グループは,触媒データをオープンに共有でき,プログラミングを必要としない機械学習・データ可視化を可能とした触媒インフォマティクス・プラットフォーム「Catalyst Acquisition by Data Science」(通称 CADS)の開発に成功しました。
近年,人工知能(AI)-データ科学-を自然科学に適用し,触媒開発を加速させる動きが活発化しています。このような試みを触媒インフォマティクスと呼び,新規の研究分野として学術界・産業界から注目されています。触媒インフォマティクスは多くの技術の融合分野のため専門性が高い上,高度なプログラミング技術が必要です。また,各々の触媒研究者の所有するデータを蓄積・共有するデータセンターが存在しないことも,触媒インフォマティクスを推進する上で大きな障害でした。
研究グループはこれらの障壁を取り払うため,ウェブブラウザ上での簡単なマウス操作で触媒インフォマティクスを用いて触媒設計できるプラットフォームを開発しました。これにより,ウェブブラウザ上で研究者が持つデータの可視化や機械学習による触媒設計が可能になる上,触媒データの公開により世界の触媒研究者との情報共有も可能とし,触媒データセンターとしての役割も果たします。実際に OCM(メタン酸化カップリング)触媒データを CADS で分析し,CADS のインタラクティブ可視化などによって,OCM の反応収率に影響する要因の切り口を見いだしました。今後,CADS の普及により,データ駆動型の効率的かつ直接的な触媒設計が加速すると期待されます。
なお,本研究成果は日本時間 2020 年 4 月 21 日(火)0 時(英国夏時間 2020 年 4 月 20 日(月)16 時)公開の Reaction Chemistry & Engineering 誌に掲載(オンライン公開)される予定です。
プラットフォームの全体像【背景】
近年,人工知能(AI)-データ科学-を自然科学に適用し,触媒開発を加速させる動きが活発となっています。このような試みを触媒インフォマティクスと呼び,新規の研究分野として学術界・産業界の 両方において注目されています。触媒インフォマティクスでは「触媒データ」「データ可視化・機械学習」など多くの技術の融合分野で専門性が高く,高度なプログラミング技術を必要とするため,一般的に敷居の高い分野という認識がありました。さらに,各々の触媒研究者の所有するデータを統合的に蓄積・共有するデータセンターが存在しないため,研究者間で適時適切なデータ共有がうまく行えないことも触媒インフォマティクスを推進する上で大きな障害となっていました。

【研究成果・今後への期待】
研究グループは,ウェブブラウザ上で触媒データを取り扱え,複雑なプログラミングやデータ科学の事前知識がなくとも,簡単なマウス操作で触媒インフォマティクスを用いた触媒設計が実行できるプラットフォーム「Catalyst Acquisition by Data Science」(通称 CADS)を開発し,https://cads.eng.h okudai.ac.jp/で公開しました。
CADS では,研究者自らの触媒データを CADS 上にアップロードすることで,ウェブブラウザ上で研究者が持つデータの可視化や機械学習による触媒設計を可能にします。また,触媒データの公開により,世界の触媒研究者との情報共有も可能とし,触媒データセンターとしての役割も果たします。 実際に OCM(メタン酸化カップリング)触媒データを CADS で分析し,CADS のインタラクティブ 可視化によって,触媒と温度,そしてアルゴン・メタン・酸素の各流量が OCM の C2 収率に影響する可能性があること見いだしました。
CADS の普及により,触媒データがより身近なものになるだけでなく,CADS が多くの学術界・産業界において触媒インフォマティクスの基盤技術となることで,データ駆動型の効率的かつ直接的な触媒設計が加速すると期待されます。
なお,本研究は,国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業 CREST 研究領域「多様な天然炭素資源の活用に資する革新的触媒と創出技術」(研究総括:上田渉)研究課題「実験・計算・データ科学の統合によるメタン変換触媒の探索・発見と反応機構の解明・制御」(研究代表者:髙橋啓介)の支援を受けて実施されました。

論文情報
論文名  Catalyst Acquisition by Data Science (CADS): A Web based Catalysts Informatics
Platform for Discovering Catalysts(触媒設計を加速するデータ分析プラットフォーム
CADS)
著者名  藤間淳 1,2,田中譲 2,宮里一旗 1,2,髙橋ローレン 1,2,髙橋啓介 1,2(1 北海道大学大学院理学研究院,2 国立研究開発法人物質・材料研究機構)
雑誌名 Reaction Chemistry & Engineering(化学工学の専門誌)
公表日 日本時間 2020 年 4 月 21 日(火)0 時(英国夏時間 2020 年 4 月 20 日(月)16 時) (オンライン公開)

お問い合わせ先
北海道大学大学院理学研究院 准教授 髙橋啓介(たかはしけいすけ)

<JST 事業に関すること>
科学技術振興機構戦略研究推進部グリーンイノベーショングループ 嶋林ゆう子(しまばやしゆうこ)

 配信元
北海道大学総務企画部広報課
科学技術振興機構広報課

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