頚動脈硬化の進んだ脳梗塞既往患者に対するプラバスタチン長期投与によるアテローム血栓性脳梗塞…

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頚動脈硬化の進んだ脳梗塞既往患者に対するプラバスタチン長期投与によるアテローム血栓性脳梗塞再発の抑制
~J-STARS Echoサブ研究~

2019-05-16 国立循環器病研究センター

国立循環器病研究センター(略称:国循)脳血管内科の和田晋一医師(現 国立病院機構九州医療センター)、古賀政利部長、豊田一則副院長、峰松一夫名誉院長らの研究チームは、国内多施設の共同研究により、わが国独自の低用量プラバスタチン(10mg/日)長期投与が頚動脈硬化の強い脳梗塞既往患者のアテローム血栓性脳梗塞の再発を抑制する可能性を報告しました。本研究成果は、米国心臓病協会の医学雑誌「Stroke」に平成31年4月30日に電子掲載されました。

研究の背景

プラバスタチン製剤は血中コレステロールを下げる働きがあり、脳卒中の発症予防効果があることが知られています。一方で再発予防に関する研究は多くないことから、わが国では心原性脳塞栓症以外の脳梗塞を発症した日本人に対する低用量プラバスタチン投与による脳卒中再発予防効果を調べた国内多施設共同無作為割付試験「J-STARS試験(主任研究者:松本昌泰 広島大学神経内科名誉教授/JCHO星ヶ丘医療センター病院長)」を実施しました。その付随研究として、頚動脈エコーを用いて低用量プラバスタチン投与による総頚動脈の内膜中膜複合体の肥厚進展抑制効果を確認する「J-STARS Echo研究(主任研究者:峰松一夫名誉院長)」を行いました。本研究では、特に低用量プラバスタチン内服開始前の頚動脈硬化の程度による再発抑制効果の差異を検証しました。

研究手法と成果

本研究では、無作為に割り付けたプラバスタチン群(388名)と対照群(405名)を、事後解析で登録時の頚動脈エコー検査結果から内膜中膜複合体厚(IMT)が薄い集団(IMT<0.812mm)・中程度の集団(0.812mm≦IMT<0.931mm)・厚い集団(0.931mm≧IMT)の3つの集団に分けて、プラバスタチン投与の有無および頚動脈硬化進行度と脳梗塞再発の関係を解析しました。その結果、対照群でIMTが厚い集団は薄い集団に比してアテローム血栓性脳梗塞の再発率が有意に高くなりました(図1)。また、IMTが厚い集団においては、プラバスタチン群で対照群に比べてアテローム血栓性脳梗塞再発率が抑えられていました(図2)。以上の結果から、頚動脈硬化が進展するとアテローム血栓性脳梗塞の再発率が高くなる傾向にあるが、低用量プラバスタチンの長期投与により再発が抑えられる可能性が示唆されました。

今後の展望と課題

日本人は欧米人に比べてプラバスタチン感受性が高いことから、長年低用量プラバスタチンが汎用されてきました。より強力なスタチン製剤や欧米と同じ通常用量のスタチン製剤を用いることでさらなるアテローム血栓性脳梗塞の再発予防効果が期待できる一方で、低コレステロール血症になり脳出血など出血性副作用が増える懸念もあります。今後は、日本人の脳梗塞再発予防に適したプラバスタチン用量を検証するための研究が必要です。

<図>

(図1)対照群におけるIMTによるアテローム血栓性脳梗塞再発率の違い

(図2)総頚動脈IMTが厚い集団内でのプラバスタチン群と対照群のアテローム血栓性脳梗塞再発率の比較

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