胎生致死とされていた生殖細胞由来機能亢進型GNAS遺伝子異常を初めて発見

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2019-04-19 浜松医科大学,日本医療研究開発機構

概要

浜松医科大学の緒方勤小児科学教授および才津浩智医化学教授らのグループと国立成育医療研究センター分子内分泌研究部の深見真紀部長および宮戸真美上席研究員らのグループは、初めてGNAS遺伝子の生殖細胞由来機能亢進変異を尿排泄障害を有する日本人2家系において同定しました。これによって、新たな遺伝性腎疾患が樹立されました。

研究の背景

GNAS-Gsαは、多数のGタンパク質共役型受容体(GPCR)の細胞内シグナル伝達を担う分子です。その生殖細胞由来機能低下変異は、母由来のときには偽性副甲状腺機能低下症を、父由来のときには偽性偽性副甲状腺機能低下症を生じます。一方、体細胞由来機能亢進変異は、皮膚カフェオレ斑、線維性骨異形成症、ゴナドトロピン非依存性思春期早発症を三主徴とするマッキューン・オルブライト症候群(MAS)を招きます。しかし、その生殖細胞由来機能亢進変異は、その報告が皆無であり、MASの重篤さと併せて、胎生致死とされていました。

研究の成果

私たちは、初めてGNAS-Gsαの生殖細胞由来機能亢進変異を尿排泄障害(抗利尿不適合性腎症候群 NSAID)の2家系で発見しました。これは、従来のGNAS-Gsα生殖細胞由来機能亢進変異が胎生致死であるという概念を覆し、新しい遺伝性腎疾患の発見となる成果です。さらに、抗利尿不適合性腎症候群が、GPCRの1つであるV2受容体(抗利尿ホルモン受容体)の機能亢進変異以外の原因で発症することも明らかとなりました。

今後の展開

この発見では、(1)初めてGNAS-Gsα生殖細胞由来機能亢進変異を同定したこと、(2)GPCRの中における機能亢進に対する感受性差異を示したこと、(3)抗利尿不適合性腎症候群 NSAID の遺伝的異質性を証明したこと、(4)新たな遺伝性腎疾患を樹立したことが特筆されます。そして、ヒトにおいて膨大な数で存在するGPCR研究が加速し、将来の治療に繋がると期待されます。

参考図

発表雑誌

雑誌名:
Journal of the American Society of Nephrology
論文タイトル:
Germline-Derived Gain-of-Function Variants of Gsα-Coding GNAS Gene Identified in Nephrogenic Syndrome of Inappropriate Antidiuresis
著者:
Mami Miyado, Maki Fukami, Shuji Takada, Miho Terao, Kazuhiko Nakabayashi, Kenichiro Hata, Yoichi Matsubara, Yoko Tanaka, Goro Sasaki, Keisuke Nagasaki, Masaaki Shiina, Kazuhiro Ogata, Youhei Masunaga, Hirotomo Saitsu and Tsutomu Ogata

研究グループ

浜松医科大学グループ:
緒方勤、才津浩智、増永陽平
国立成育医療研究センターグループ:
深見真紀、宮戸真美、高田修二、中林一彦、秦健一郎、松原洋一
横浜市立大学:
緒方一博、椎名雅明
東京歯科大学市川総合病院:
田中葉子、佐々木悟朗
新潟大学:
長崎啓祐

本研究への支援

本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)難治性疾患実用化研究事業「未診断疾患イニシアチブ(Initiative on Rare and Undiagnosed Disease (IRUD) ):希少未診断疾患に対する診断プログラムの開発に関する研究」の支援により行われました。

お問い合わせ先

本件に関するお問い合わせ先

浜松医科大学小児科学講座
教授 緒方 勤

AMED事業に関するお問い合わせ先

国立研究開発法人日本医療研究開発機構
戦略推進部 難病研究課

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