2つに分裂するか、3つに分裂するか、それが問題だ

スポンサーリンク

2019-04-17 国立遺伝学研究所

Choice between 1- and 2-furrow cytokinesis in Caenorhabditis elegans embryos with tripolar spindles

Tomo Kondo and Akatsuki Kimura

Molecular Biology of the Cell Published Online:20 Feb 2019 DOI:10.1091/mbc.E19-01-0075

国立遺伝学研究所博士研究員の近藤興博士(現・東京大学 助教)と細胞建築研究室の木村暁教授は、過剰数の中心体を有した細胞がその分裂のパターンを決定するしくみを明らかにした。本成果は米国細胞生物学会が発行するMolecular Biology of the Cell誌の「細胞内外の力学(Forces on and within Cells)」をテーマとした特集号(7/22発行予定)に掲載される。

動物細胞が遺伝情報を2つに分配し分裂するとき、細胞小器官の「中心体」が重要である。正常な分裂期の細胞では中心体は2つだが、それ以上になった細胞は一体どうなるのか?本研究では、モデル生物である線虫C. elegansの受精卵を使って、中心体を3つに増やした細胞を遺伝学的に作出し解析した。3つの中心体をもつ細胞は3つに分裂すると予想されたが、実際は、そのような細胞はわずか30%しかなかった(図A右)。残りの70%は、あたかも正常に2分裂した(図A左)。詳細に分析すると、いずれの細胞でも形成されていた3つの中心体を頂点とする三角形の紡錘体と細胞長軸のなす角度が、分裂パターンと相関することを見出した。近藤博士らは、画像解析とコンピュータ・シミュレーションを駆使し、この紡錘体の配置は、1)細胞の形状、2)中心体にかかる力、3)中心体の大きさの違いに起因する力の非対称性によって決定されることを提唱した。本研究の成果は、細胞内力学の基本的な理解に繋がるとともに、がん細胞など様々な細胞の分裂を人為的に制御できる可能性を示唆している。

Figure1

図:(A) 3つの中心体(矢印)を持った線虫の受精卵。左列の細胞は中心体を2つ有する通常の細胞のように2つに分裂する。一方、右列の細胞は3つに分裂した。(B) 3つの中心体を有する細胞の分裂パターンを説明する模式図。3つの中心体が形成する三角形状の紡錘体の細胞長軸に対する角度が重要であった。

スポンサーリンク
スポンサーリンク