青や緑の色覚遺伝子を制御する分子の同定

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2019-04-11 国立遺伝学研究所

Six6 and Six7 coordinately regulate expression of middle-wavelength opsins in zebrafish

Yohey Ogawa, Tomoya Shiraki, Yoshimasa Asano, Akira Muto, Koichi Kawakami, Yutaka Suzuki, Daisuke Kojima and Yoshitaka Fukada

PNAS (2019) 116 (10) 4651-4660 DOI:10.1073/pnas.1812884116

脊椎動物の視覚は視細胞と呼ばれる光感受性の細胞による光受容により始まります。視細胞は桿体細胞と錐体細胞という2種類に大別され、このうち錐体細胞が明るい場所での視覚や色覚を担っています。錐体細胞は応答する光の波長(色)によりさらに複数のサブタイプに分類され、各タイプの錐体細胞はそれぞれ異なる光受容タンパク質(オプシン)を発現します。この波長感受性の異なる複数の錐体サブタイプの組み合わせにより色覚は実現されます。魚類・鳥類・爬虫類など多くの脊椎動物は4種類(紫・青・緑・赤)のオプシン遺伝子をもち、この4色型の色覚は脊椎動物における色覚の原型であると考えられています。一方、哺乳類は進化の過程で青と緑の2種類のオプシン遺伝子を失っており、哺乳類において失われた青と緑のオプシンの存在意義や、その遺伝子発現の制御メカニズムについては全く明らかにされていませんでした。

本研究では、4色型の色覚をもつ小型魚類ゼブラフィッシュを用いてオプシン遺伝子の制御に必須の分子を探索しました。錐体細胞に強く発現する分子として同定された転写制御因子Six6とSix7に着目し、この両方の遺伝子を機能欠損する変異個体を作製したところ、青と緑のオプシン遺伝子の発現がともに消失しました。さらにChIPシーケンス解析から、青と緑のオプシン遺伝子のごく近傍にSix6とSix7が結合することが分かりました。これらの結果から、Six6とSix7が青と緑のオプシン遺伝子の発現を協調的に制御することが明らかになりました。
また、この変異個体は野生型と混在した通常の飼育環境下では成魚まで生育しないが、変異個体のみの飼育では成魚まで成長したことから、他個体との摂餌競争に勝てない可能性が想起されました。そこで、幼生期の変異個体においてゾウリムシの捕獲行動を解析したところ、摂餌の成功回数が顕著に低下することが分かりました。このことから青〜緑色の波長領域の色受容が生存に重要な意味をもつことが明らかとなりました。

本研究は、東京大学大学院理学系研究科の小川洋平特任研究員、小島大輔講師、深田吉孝教授らの研究グループと、東京大学の鈴木穣教授、国立遺伝学研究所の発生遺伝学研究室(川上浩一教授、武藤彩助教、白木知也特任研究員)との共同研究により実施されました。

本研究は科研費補助金(JP16J01681、JP16K20983、JP15K07144、JP18H04988、JP24227001、JP17H06096)の支援を受けて行われました。

Figure1

図:(左)Six6とSix7を機能欠損する変異個体(TKO)は青と緑のオプシン遺伝子の発現がともに消失しているため、野生型(WT)と比較して中波長領域の光感受性が減弱する。(右)この変異個体では野生型と比較してゾウリムシ(paramecia)の捕獲行動能が低下する。

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