「平成30年度新南極海鯨類科学調査」の終了について

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2019-03-31  水産庁

平成31年3月31日(日曜日)、南極海における鯨類科学調査(新南極海鯨類科学調査計画(NEWREP-A))が終了し、調査船団が下関に入港します。

1.調査の目的

本調査は、南極海におけるクロミンククジラのより精緻な捕獲枠の算出と南極海生態系の構造・動態の研究を目的として、平成27年度から実施されているものです。

本調査は、国際捕鯨取締条約第8条に基づき、農林水産大臣の許可を受けて実施されています。

2.調査の概要

(1)調査海域:南緯60度以南、東経0度から東経115度

(2)航海時間:平成30年11月12日から平成31年3月31日まで140日間

(3)調査期間:平成30年12月18日から平成31年2月27日まで72日間

(4)調査実施機関:一般財団法人 日本鯨類研究所

(5)調査団長:一般財団法人 日本鯨類研究所 調査研究部鯨類生物研究室 室長 坂東 武治

(6)調査船:

・調査母船「日新丸」(8,145トン、江口船長以下99名)

・目視採集船「勇新丸」(724トン、葛西船長以下20名)

・目視採集船「第二勇新丸」(747トン、大越船長以下21名)

・目視採集船「第三勇新丸」(742トン、阿部船長以下19名)

・目視専門船「第七開洋丸」(649トン、佐々木船長以下16名)

3.調査結果の概要

調査結果の概要は、次のとおりです。

(1)クロミンククジラ333頭を捕獲。そのうち、雄は186頭、雌は147頭でした。捕獲した個体のうち、雄は75.8%、雌は56.5%の割合で性成熟しており、予備的分析から、本種の健全な繁殖力が示唆されています。また、捕獲した個体に対しては、生物学的及び生態学的情報を明らかにするため、年齢査定に必要な耳垢栓と水晶体、栄養状態の判定に必要な脂皮、繁殖情報を得るための生殖腺、及び餌生物種の情報を得るための胃内容物やその他の分析用組織標本を収集しました。

(2)目視調査からは、シロナガスクジラを始め、クロミンククジラ等の複数鯨種が同一海域を利用していること、ナガスクジラやザトウクジラなど大型クジラの発見が多いなど、近年の知見と同様の情報が確認されました。さらにザトウクジラに加えてナガスクジラにも顕著な資源回復の傾向が認められました。

(3)発見された鯨類へのバイオプシー標本採集(注1)、自然標識撮影(注2)及び衛星標識装着実験といった非致死的調査も実施しました。バイオプシー標本として皮膚の採集を5種(シロナガスクジラ、ミナミセミクジラ、ザトウクジラ、ナガスクジラ、クロミンククジラ)、62個体から行いました。自然標識撮影は4種(シロナガスクジラ、ミナミセミクジラ、ザトウクジラ、シャチ)、96個体で実施しました。

(4)餌環境調査として、計量魚群探知機及びネットサンプリングによるオキアミ類の資源量調査や、採水を含む海洋環境調査を実施しました。

(5)今次調査で得たデータ及び標本は、今後、国内外の研究機関と連携して分析されます。成果については、詳細を国際捕鯨委員会(IWC)科学委員会で報告するとともに、関連学会などで発表していきます。

(注1)DNA等を解析するため、鯨の表皮の一部を採集するもの。

(注2)鯨の個体識別ができるような、外見上の特徴(色、ひれの形状、傷跡等)を撮影するもの。

4.安全対策

(1)水産庁監視船を派遣しました。

(2)シー・シェパード所属船舶の旗国・寄港国等に対し、海上の安全確保のための実効的な措置を講じるよう申し入れを行いました。

(3)結果として、今次調査については、シー・シェパード所属船舶が南極海に派遣されたとの情報はなく、妨害行為の発生もありませんでした。

5.その他

調査結果に関する詳細な情報は、一般財団法人 日本鯨類研究所のホームページで公開しています。

(一財) 日本鯨類研究所
日本鯨類研究所は、鯨類その他の海産哺乳類の試験研究、調査及び関連する国際情勢の調査等を行い、水産資源の適切な管理と利用に寄与することを目的としている。

(参考)

平成30年11月12日付けプレスリリース「平成30年度新南極海鯨類科学調査」の実施について

「平成30年度新南極海鯨類科学調査」の実施について:水産庁

お問合せ先

資源管理部国際課捕鯨室

担当者:槇、藤尾

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