哺乳類の体重の進化には歩行様式(足の着き方)が関係していた

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大型化をもたらした哺乳類の歩行様式の進化

2019-02-04 東京大学
東京大学総合研究博物館の久保泰特任研究員とイギリス・レディング大学生物科学スクールの坂本学研究員らは、880種の現生哺乳類の系統関係、歩行様式と体重を用いた解析により、哺乳類の歩行様式の進化パターンと、その体重進化との関連を明らかにしました。

哺乳類には、足裏をつけて歩く蹠行性(ネズミ、ヒト等)、指先だけをつけて歩く趾行性(ネコ、イヌ等)、つまさきだけをつけて歩く蹄行性(ウマ、シカ等)の歩行様式があります。これらの移動様式が哺乳類全体でどのように進化してきたのか、また蹠行性には小型種が多く趾行性や蹄行性には大型種が多いという現在の哺乳類の種構成がどのように形成されたのかについての研究はほとんど行われていませんでした。

本研究により、哺乳類の共通祖先は蹠行性である事、趾行性は哺乳類の様々な分類群で独立に何度も進化している事、蹠行性-趾行性間と趾行性-蹄行性間では進化が起きるが、蹠行性から蹄行性への進化は起きない等、哺乳類の個々の分類群の化石からの推定と合致する結果が得られました。さらに、体重の進化速度は移動様式が変わる時はそうでない時の7倍にもなる事が明らかになりました。この結果は蹠行性から趾行性、趾行性から蹄行性へと移動様式が進化する時に大型化が起きた事を示唆しています。

趾行性を哺乳類以外では唯一、そして脊椎動物として初めて進化させたのは恐竜の仲間です。移動様式が進化する時に大型化するという哺乳類で今回確かめられた現象は、恐竜も含むより広範な陸生脊椎動物で2億年以上保持されてきた進化現象かもしれません。我々はそのような陸生脊椎動物に普遍的な体重進化と移動様式の間の“ルール”があるのかを今後も調べて行きたいと考えています。

「この研究ではネット上の動画から哺乳類の足の着き方(歩行様式)を調べました。数か月の間、ひたすらネットで動物の動画を探して見ていました。楽しかったのですが、他の人に遊んでいると思われるのではとビクビクしました」と久保特任研究員は話します。

「この研究の筆頭著者は私とレディング大学の坂本博士です。坂本博士とはイギリスで修士課程を一緒にした仲で、20年来の友人です。彼と一緒に論文を書けた事がとてもうれしいです」と続けます。

本研究は科学研究費補助金「哺乳類の咀嚼運動様式の進化をさぐる」の支援を受けて行われました。


哺乳類の移動様式の進化パターン
哺乳類の祖先は蹠行性で、蹠行性-趾行性間、趾行性-蹄行性間の進化は起きるが蹠行性から蹄行性へは進化しない。また蹠行性から趾行性、趾行性から蹄行性への進化は大型化を伴う。
Image created by Tai Kubo using public domain illustrations

論文情報

Tai Kubo*, Manabu Sakamoto*, Andrew Meade, and Chris Venditti (*筆頭著者), “Transitions between foot postures are associated with elevated rates of body size evolution in mammals  (和訳:哺乳類の移動様式の進化は体重の進化速度の向上を伴う),” Proceedings of the National Academy of Sciences (米国科学アカデミー紀要): 2019年1月28日, doi:10.1073/pnas.1814329116.
論文へのリンク (掲載誌)

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