急性骨髄性白血病の新規遺伝子変異を発見 -乳がんの既存薬が治療に有効である可能性-

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2018/11/01 京都大学

 松尾英将 医学研究科 助教、吉田健一 同助教(現・Wellcome Sanger Institute研究員)、上久保靖彦 同准教授、小川誠司 同教授、足立壯一 同教授らの研究グループは、急性骨髄性白血病において新規CCND3遺伝子変異を発見し、乳がんで既に臨床応用されているCDK4/6阻害剤が治療に有効である可能性を明らかにしました。

本研究成果は、2018年11月1日に、米国の学術誌「Blood Advances」のオンライン版に掲載されました。

研究者からのコメント

 本研究は、日本小児がん研究グループ(JCCG)の臨床試験(AML-05)の余剰検体をはじめとする、日本全国の医療機関から収集した多数のAMLの臨床検体を用いることで実現しました。ご協力いただきました患者さん、ご家族、医療スタッフにあらためて感謝いたします。

 本研究成果はAMLの新規遺伝子変異をターゲットとして、既存の薬剤が有効である可能性を示したものです。つまり、新規の薬剤と比較して臨床応用へのハードルは低いと考えられ、少しでも早く患者さんに届けられるよう、今後も研究を継続していきます。

概要

急性骨髄性白血病(AML)は、従来の治療法では再発例が多く長期生存率は低いことから、新しい治療法の開発が望まれています。中でもMLL再構成AMLという病型は小児(特に乳児)に高頻度にみられますが、詳しい遺伝子異常は分かっていませんでした。

そこで本研究グループは、日本全国の医療機関から収集したMLL再構成AMLの余剰検体を用いて、次世代シークエンサーを用いた網羅的な遺伝子解析を行いました。その結果、小児症例の約9%、成人症例の約3%において新たなCCND3遺伝子変異を発見しました。さらに、乳がんで近年臨床応用されているCDK4/6阻害剤が、CCND3遺伝子変異を持つMLL再構成AML細胞株の増殖を著明に抑制することを明らかにしました。

本研究成果により、CDK4/6阻害剤がMLL再構成AML治療の有望な選択肢となり、CCND3遺伝子変異がCDK4/6阻害剤の有効性を予測できる指標になる可能性が考えられます。

図:(上)小児・成人MLL再構成AMLのCCND3遺伝子変異、(下)AML細胞株に対するCDK4/6阻害剤の有効性

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】https://doi.org/10.1182/bloodadvances.2018019398

Hidemasa Matsuo, Kenichi Yoshida, Kazutaka Fukumura, Kana Nakatani, Yuki Noguchi, Saho Takasaki, Mina Noura, Yusuke Shiozawa, Yuichi Shiraishi, Kenichi Chiba, Hiroko Tanaka, Ai Okada, Yasuhito Nannya, June Takeda, Hiroo Ueno, Norio Shiba, Genki Yamato, Hiroshi Handa, Yuichiro Ono, Nobuhiro Hiramoto, Takayuki Ishikawa, Kensuke Usuki, Ken Ishiyama, Shuichi Miyawaki, Hidehiro Itonaga, Yasushi Miyazaki, Machiko Kawamura, Hiroki Yamaguchi, Nobutaka Kiyokawa, Daisuke Tomizawa, Takashi Taga, Akio Tawa, Yasuhide Hayashi, Hiroyuki Mano, Satoru Miyano, Yasuhiko Kamikubo, Seishi Ogawa and Souichi Adachi (2018). Recurrent CCND3 mutations in MLL-rearranged acute myeloid leukemia. Blood Advances, 2(21), 2879-2889.

  • 日本経済新聞(11月1日 42面)に掲載されました。
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