疾患に関連する変異の割合とその効果サイズを推定する手法

疾患に関連する変異の割合とその効果サイズを推定する手法

2018/05/16 国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

重水大智ユニット長が共著者の「疾患に関連する変異の割合とその効果サイズを推定する手法」に関する研究論文が、Frontiers in Genetics誌に掲載されました

疾患に関連する変異の割合とその効果サイズを推定する手法の開発

これまで、ゲノムワイド関連解析(genome-wide association study: GWAS)において多くの複雑疾患の感受性変異が同定されています。しかしながら、それらは家系分析により推定される遺伝率のごく一部しか説明することはできないと言われています(=missing heritabilityの問題)。今後症例数を増やしても、GWAS解析が何処まで成功するのか、また遺伝的な発症予測がどの程度うまくいくのか未だよく分かっていません。そこで今回の研究で、疾患ごとに関連する変異の割合とその効果サイズを推定する方法(empirical Bayes estimation of semi-parametric hierarchical mixture models: SP-HMMs)を新たに開発しました。

その結果、統合失調症はゲノム全体の約40%のSNPが疾患に関連し、それらの遺伝子型オッズ比は1.03にほぼ収まること(highly polygenic)、リウマチは4-8%程度のSNPが疾患に関連し、その遺伝子型オッズ比は1.05~1.1に達すること(less polygenic)など、疾患ごとに遺伝的構造が大きく異なることを明らかにしました(図1)。今回の開発手法は、効果サイズの分布型を指定することなく推定することができることから、今後多くの複雑疾患の遺伝構造の解明の助けになると期待されるでしょう。

疾患の遺伝子型オッズ比

図1: 疾患の遺伝子型オッズ比