初期胚発生過程における染色体の動きの変化を検出

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国立遺伝学研究所

細胞建築研究室・木村研究室

Reduction in chromosome mobility accompanies nuclear organization during early embryogenesis in Caenorhabditis elegans.

Arai R, Sugawara T, Sato Y, Minakuchi Y, Toyoda A, Nabeshima K, Kimura H, Kimura A.

Scientific Reports, 7, 3631 (2017). DOI:10.1038/s41598-017-03483-5

遺伝情報を担う染色体DNAは長い繊維ですが、球形の細胞核の中にただやみくもに詰められているわけではありません。染色体ごと、あるいは機能領域ごとに整理されて細胞核内に整頓されていると考えられていますが、そのような整頓された構造が生物の個体発生の過程でどのようにできあがるのかについては不明な点が残されています。国立遺伝学研究所・細胞建築研究室の荒井律子元研究員らは、同・比較ゲノム解析研究室や東京工業大学の研究グループと共同で、線虫の初期胚発生の過程における染色体の動きを可視化・定量化し、受精卵が3回分裂した8細胞期のあたりで、急激に動きが小さくなることを見つけました。染色体の核内での存在様式は、遺伝子の発現など様々な染色体機能に関わると予想されます。実際に研究チームは、染色体の動きが小さくなる時期が、遺伝子の活性の指標となる染色体の化学修飾の変化や核小体の構造が明確になる時期と同時期であることも見出しました。したがって、今回見出した染色体の動きは、染色体の”整頓”の指標になり得ると考えます。

Figure1

図:[左写真] 染色体上の特定の遺伝子座(白点)の動きを、各発生時期で追跡した例(線)。黄色い点は核の中心を表す(48細胞期については表示していない)。[右グラフ] MSCD (二点間の距離の変化の二乗平均)を指標とした動きの評価。MSCDを測定間隔(τ)に対してプロット。図の中の幾つかのパネルは論文(Arai et al., 2017)で発表したものと同一。

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