半導体量子ビットによるハイブリッド量子計算手法の実証

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半導体量子コンピュータの主要な課題解決に指針

2018/11/29  理化学研究所,東京大学,科学技術振興機構,ルール大学ボーフム校

理化学研究所(理研)創発物性科学研究センター量子機能システム研究グループの野入亮人特別研究員、中島峻研究員、樽茶清悟グループディレクター(東京大学大学院工学系研究科教授)、量子システム理論研究チームのダニエル・ロスチームリーダー(バーゼル大学物理学科教授)、ルール大学ボーフム校のアンドレアス・ウィック教授らの国際共同研究グループは、半導体量子ドット[1]デバイス中の電子スピン[2]を用いて、異なる二つの方式のスピン量子ビット[3]を結合させることに成功しました。

本研究成果は、半導体量子ドットを用いた量子コンピュータ[4]の実現に必須の要素である「高精度制御」と「高速読み出し」の両立に道筋を示したといえます。

半導体量子コンピュータの設計では、一つの量子ビットを構成する電子スピンの数に応じて、さまざまな方式の量子ビットが研究されてきました。各方式には一長一短があるものの、従来これらの方式には互換性がなく、それぞれの利点を生かすことは困難と考えられていました。

今回、国際共同研究グループは、高精度制御に適した「スピン1/2量子ビット[5]」と高速読み出しに適した「ST量子ビット[6](一重項-三重項量子ビット)」を結合させ、両方式の互換性を確保することに成功しました。さらに、これらの量子ビット間で「量子もつれ[7]」を生成する「論理ゲート制御」を実証し、スピン量子ビットの主要な課題である高精度制御と高速読み出しの両立が可能であることを示しました。

本研究は、英国の科学雑誌『Nature Communications』オンライン版(11月29日付け:日本時間11月29日)に掲載されます。

半導体量子ドット列を用いた異なる方式のスピン量子ビット複合系の図

図 半導体量子ドット列を用いた異なる方式のスピン量子ビット複合系

※国際共同研究グループ

理化学研究所 創発物性科学研究センター
量子機能システム研究グループ
特別研究員 野入 亮人(のいり あきと)
研究員 中島 峻(なかじま たかし)
研究員 米田 淳(よねだ じゅん)
グループディレクター 樽茶 清悟(たるちゃ せいご)
(東京大学大学院 工学系研究科 教授)
量子システム理論研究チーム
上級研究員 ピーター・スタノ(Peter Stano)
チームリーダー ダニエル・ロス(Daniel Loss)
(バーゼル大学物理学科教授)

ルール大学 ボーフム校
教授 アンドレアス・ウィック(Andreas Wieck)

※研究支援

本研究は、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業 CREST「量子状態の高度な制御に基づく革新的量子技術基盤の創出(研究総括:荒川泰彦)」の研究課題「スピン量子計算の基盤技術開発(研究代表者:樽茶清悟)」、日本学術振興会(JSPS)科学研究費補助金基盤研究S「量子対の空間制御による新規固体電子物性の研究(研究代表者:樽茶清悟)」、革新的研究開発プログラム(ImPACT)「量子人工脳を量子ネットワークでつなぐ高度知識社会基盤の実現(プログラム・マネージャー:山本喜久)」の研究課題「量子ドット量子シミュレータ(研究代表者:樽茶清悟)」による支援を受けて行われました。

背景

近年、半導体デバイスの微細化による情報処理能力の向上が限界を迎えつつあり、新しい動作原理に基づく次世代型コンピュータの実現が切望されています。特に最も有望視されているのが、量子力学の原理に基づき、複数の情報を同時に符号化することで超並列計算を実行する量子コンピュータであり、その実用化に向けた研究開発が世界的に活発化しています。

さまざまな物理系を用いた量子コンピュータの研究が進められていますが、中でも半導体中の電子スピンを用いた電子スピン量子コンピュータ(半導体量子コンピュータ)は既存産業の集積回路技術と相性が良く、大規模量子コンピュータの実装に適していると考えられています。

量子コンピュータの実現には、DiVincenzoの5条件[8]として知られる大きなハードルを乗り越える必要があります。この中で、量子ビットの「高精度制御」と「高速な初期化・読み出し」は最も基本的で重要な要素です。半導体量子コンピュータでは、単一の電子スピンからなる「スピン1/2量子ビット」によって、極めて高精度な制御が可能であることが実証されていました。一方で、初期化と読み出しの精度および速度に関しては課題が残されています。またこれとは独立に、二つの電子スピンからなる「ST量子ビット(一重項-三重項量子ビット)」の研究開発も進められ、量子コンピュータ素子としての基本動作原理の検証が完了しています。この方式は、制御精度の点でスピン1/2量子ビットに及ばないものの、初期化と読み出しが高速かつ高精度に実行できるという大きな利点を持っています。

両方式の量子ビットは互いに相補的な関係にあるため、これらを組み合わせて両方式の利点を融合することで、既存の半導体量子コンピュータの主要課題が解決され、効率的な量子コンピュータを設計できると期待できます。しかし、これまで両方式には互換性がなく、両方式を組み合わせる研究は行われてきませんでした。

研究手法と成果

国際共同研究グループは、高品質なGaAs/AlGaAs(砒化ガリウム/砒化アルミニウムガリウム)ヘテロ接合基板上に金属微細加工を施すことで、電子スピン三つからなる「三重量子ドット構造」を作製しました(図1左)。この試料では、左のドットでスピン1/2量子ビット、中央と右の二重量子ドットでST量子ビットが形成されます。三重量子ドットの近くに配置した微小磁石が作る局所磁場[9]を利用することで、単一試料上で両方式の量子ビットを動作させることができます。両方式の量子ビットは、交換相互作用[10]によって結合可能であり(図1右)、その結合はゲート電極に加えるパルス電圧で高速に制御できます。

実験では、最初に量子ビット間の結合をオフにして、それぞれの量子ビットの動作確認を行いました。スピン1/2量子ビットでは、操作時間に対して上向きと下向きの状態が周期的に入れ替わるように振動する様子が観測され(図2左)、ST量子ビットでは、一重項と三重項の間で状態の振動(位相[11]の振動)が観測され(図2右)、それぞれの正しい動作が確認できました。

続いて、スピン1/2量子ビットとST量子ビットの結合強度をゲート電圧により制御しました。両量子ビットを結合させると、スピン1/2量子ビットの向き(上向きもしくは下向き)に応じて、ST量子ビットの振動数が変調されます。この機構により、スピン1/2量子ビットとST量子ビットの状態が相関を持つ「量子もつれ」状態を生成することができます。特に、スピン1/2量子ビットが下向きの場合と上向きの場合における、ST量子ビットの振動の位相差(制御位相)がπとなる操作を「制御位相ゲート[12]」と呼び、量子もつれが最大化した状態を作ることができます。

今回の試料では、最大で量子ビット間の結合強度90メガヘルツ(メガは100万)を達成することができました。この条件で測定した、ST量子ビットの位相の変調結果を図3に示します。図3中央のグラフにある、下から始まる青、上から始まる赤のデータは、それぞれスピン1/2量子ビットの向きが上向き、下向きの場合に対応しており、これらの位相差から制御位相を求めることができます(図3下)。

制御位相は、両量子ビットを結合させる時間(2量子ビット操作時間)に対して11ナノ秒(1ナノ秒は10億分の1秒)周期(結合強度の逆数)で振動しており、これがπとなるとき、すなわち5.5ナノ秒で制御位相ゲートを実行できることが分かりました。一方で、この操作時間に比べ、測定した量子ビットのコヒーレンス時間[13]は211ナノ秒と40倍程度長かったことから、正確に制御位相ゲートを実行できていると考えられます。

最後に、制御位相ゲートの動作確認を行いました。ここでは、まずスピン1/2量子ビットの回転操作で重ね合わせ状態を含む任意の状態を用意し、制御位相ゲートを実行した後、最後に両量子ビットを読み出しました(図4上)。その結果、スピン1/2量子ビットの回転操作時間に応じて、スピン1/2量子ビットの状態が上向きと下向きの間で振動する様子が観測されました(図4下)。一方で、同様の振動がST量子ビットの位相にも観測されました(図4下)。これらのことから、制御位相ゲートが、スピン1/2量子ビットの重ね合わせ状態に対しても正しく動作することを確認できました。

これらの結果は、ST量子ビットの特性を生かして、スピン1/2量子ビットの課題を改善できることを実証した点で重要な意義があります。既存の手法によるスピン1/2量子ビットの読み出しは遅く、かつエラーが大きい一方で、ST量子ビットの読み出しは高速(スピン1/2量子ビットに対して1,000倍程度高速)、かつ低いエラー(スピン1/2量子ビットに対して10分の1程度)で実行可能です。制御位相ゲートを用いると、スピン1/2量子ビットの向きとST量子ビットの位相の間に相関が生成されるため(量子もつれ状態)、ST量子ビットの位相を測定することで、スピン1/2量子ビットの情報を間接的に読み出すことができます。図4のグラフの下段の紫色の振動(変調位相のアンサンブル平均)は、実際にST量子ビットを用いたスピン1/2量子ビットの読み出しを実現した結果であり、スピン1/2量子ビットの主要な課題を改善することに成功しました。

今後の期待

本研究では、異なる利点を持つ2方式のスピン量子ビットを結合させることに成功し、初めて両方式の互換性を確保しました。さらに、異なる利点を生かせるように、コヒーレンス時間に対して十分高速に両量子ビット間での量子もつれ状態を生成可能なことを実証しました。この量子もつれ状態を用いることで、実際にスピン1/2量子ビットの主要な課題であった読み出し時間を1,000分の1に改善することに成功しました。

この成果は、従来の半導体量子コンピュータにおける主要な課題の解決につながる基盤技術となり、半導体量子コンピュータの大規模化に向けた開発をさらに加速させるものと期待できます。

原論文情報
  • Akito Noiri, Takashi Nakajima, Jun Yoneda, Matthieu R. Delbecq, Peter Stano, Tomohiro Otsuka, Kenta Takeda, Shinichi Amaha, Giles Allison, Kento Kawasaki, Yohei Kojima, Arne Ludwig, Andreas D. Wieck, Daniel Loss, and Seigo Tarucha, “A fast quantum interface between different spin qubit encodings”, Nature Communications, 10.1038/s41467-018-07522-1
発表者

理化学研究所
創発物性科学研究センター 量子機能システム研究グループ
特別研究員 野入 亮人(のいり あきと)
研究員 中島 峻(なかじま たかし)
グループディレクター 樽茶 清悟(たるちゃ せいご)
(東京大学大学院 工学系研究科 教授)

創発物性科学研究センター 量子システム理論研究チーム
チームリーダー LOSS Daniel(Daniel Loss)
(バーゼル大学 物理学科 教授)

ルール大学ボーフム校
教授 アンドレアス・ウィック(Andreas Wieck)

報道担当

理化学研究所 広報室 報道担当

東京大学大学院 工学系研究科 広報室

科学技術振興機構 広報課

JST事業に関すること

科学技術振興機構 戦略研究推進部 グリーンイノベーショングループ

補足説明
  1. 量子ドット
    電子を空間的に3次元全ての方向に閉じ込めることで運動を制限し、0次元構造としたもの。その性質から人工原子とも呼ばれ、電子を一つずつ出し入れすることができる。
  2. 電子スピン
    電子が右回りまたは左回りに自転する回転の内部自由度のこと。この回転の向きに応じて、通常上向きまたは下向きの矢印で表される。
  3. 量子ビット
    電子スピンの向きなどに符号化された量子情報の最小単位のこと。通常のデジタル回路では「0もしくは1」の2状態に情報が保持されるのに対し、量子ビットでは「0でありかつ1でもある」状態を任意の割合で組み合わせて表現することができ、これを量子力学的な重ね合わせ状態と呼ぶ。このことを表現するために、通常量子ビットの状態は任意の向きの矢印によって表される。
  4. 量子コンピュータ
    量子力学における重ね合わせを利用して、超並列計算を実現するコンピュータ。従来のコンピュータでは天文学的な時間のかかる因数分解の問題などを、数時間で解くことができる量子アルゴリズムが開発されており、超高速計算が可能になると考えられている。
  5. スピン1/2量子ビット
    単一量子ドット中の単一電子スピンを用いて実装される量子ビットのことで、今回の場合は上向き、下向きがそれぞれ量子ビットの0と1に対応する。
  6. ST量子ビット
    二重量子ドット中の2電子スピンを用いて実装される量子ビットのことで、全スピン角運動量が0(一重項)および1(三重項)の状態がそれぞれ量子ビットの0と1に対応し、一重項-三重項量子ビット(ST量子ビット)と呼ばれる。外部磁場を加えることで三重項のエネルギー縮退を解き、磁場と平行なスピン成分が0の状態のみを量子ビットとして利用する。この量子ビットでは、基底状態の取り替えにより、右のドットに上向き(下向き)、左のドットに下向き(上向き)の電子スピンが入った状態を0(1)として動作することも可能で、今回の実験もこの基底状態で行った。
  7. 量子もつれ
    複数の量子ビットの間に生じた量子力学的な相関のこと。今回の場合、ニつの量子ビットが「それぞれ0か1かは不確定(どちらの可能性もあり得る)」であるが、「一方が0であれば他方も必ず0である」ような状態を指す。ニつの量子ビット間での量子もつれ状態の生成は、量子コンピュータにおける基本要素の一つであり、これと単一量子ビット操作を組み合わせることで、任意の量子コンピューティングが可能となる(量子計算の万能性)。
  8. DiVincenzoの5条件
    量子コンピュータのハードウェアを構成する物理系に要求される5つの条件のこと。量子ビットが満たすべき条件は、「系の拡張性(集積化が可能)」、「初期化能力」、「読み出し能力(計算結果の出力)」、「コヒーレンス時間に対して十分高速な計算が可能(高精度な計算が可能)」、「計算の万能性」である。これらの条件を満たす物理系として、特に「拡張性」と「コヒーレンス時間」に優れる量子ドット中の電子スピンを用いた量子コンピュータが提案された。
  9. 局所磁場
    微細加工により形成した微小磁石が磁化することによって生じる磁場のこと。微小磁石の構造に応じて、空間的に不均一に分布した磁場が生じ、これを利用することで各方式のスピン量子ビットの制御が可能となる。
  10. 交換相互作用
    ニつの電子スピンからなる一重項状態と三重項状態の間に、エネルギー差を与える相互作用のこと。今回の場合は一重項状態の方が低いエネルギーであり、隣り合うスピンが反平行の状態の方が平行の状態よりも安定化している。
  11. 位相
    量子ビットの重ね合わせ状態が、どの程度強め合っているかを表現するために導入される概念のこと。量子ビットの位相は2πの周期を持ち、πだけ位相が回転することを位相反転と呼ぶ。今回の場合、ST量子ビットの一重項と三重項状態は、位相がπだけ異なる状態にあり、これらの状態間での振動は、ST量子ビットの位相の時間発展に対応している。
  12. 制御位相ゲート
    制御量子ビットが1の場合には対象の量子ビットの位相が反転するが、制御量子ビットが0の場合には対象の量子ビットの状態が保たれる操作のこと。この関係は、量子力学的な重ね合わせ状態に対しても成立する。制御位相ゲートは、量子ビット間に量子もつれを生成する、基本的かつ重要な2量子ビット操作の一つとなっている。
  13. コヒーレンス時間
    量子ビットが情報を保持している典型的な時間のこと。量子力学的な重ね合わせ状態を用いて符号される量子ビットの情報は、外界などの雑音の影響を受けることで、通常時間の経過とともに失われる。よって、正確に量子ビットを操作するためには、操作時間よりコヒーレンス時間が十分長い必要がある。

スピン1/2量子ビット-ST量子ビット複合系の図

図1 スピン1/2量子ビット-ST量子ビット複合系

左: 半導体基板(GaAs/AlGaAs)上に作製した金属ゲート電極構造(黄色、オレンジの領域/線)に、電圧をかけ、左の赤い丸矢印と、真ん中と右の青い丸矢印のスピンで示した部分(量子ドット)に電子を一つずつ閉じ込める。左の量子ドット(赤)はスピン1/2量子ビットとして、中央と右の量子ドット(青)はST量子ビットとして動作する。各量子ビットの動作に必要な局所磁場は、黒の矢印で示す方向に磁場(外部磁場)を加えた状態で、左上の領域に作製したコバルト製の微小磁石により形成する。右上の白丸で示した量子ドットは、量子ビットの電荷およびスピン状態を読み出すための電荷計として用いる。左下の黒のスケールバーは500ナノメートル(nm、1nmは10億分の1メートル)を表す。
右: スピン1/2量子ビットとST量子ビットの複合系を表わす模式図。両者の結合は量子ビット間、すなわち中央と左の量子ドット間の交換相互作用を用いて制御可能である。また、ゲート電極に適切なパルス電圧を加えることにより(図1左参照)、結合の高速制御が可能である。

スピン1/2量子ビットおよびST量子ビットの独立な動作確認の図

図2 スピン1/2量子ビットおよびST量子ビットの独立な動作確認

左: スピン1/2量子ビットの動作確認。基底状態を上向き(|↑>)に初期化した後、回転操作を行い、最後に読み出しを行ったところ、回転操作時間に対応して、状態が上向き(|↑>)と下向き(|↓>)の間で振動する様子が観測された。この結果から、量子ビットの初期化、操作、読み出しが全て正しく動作していることが確かめられた。
右: ST量子ビットの動作確認。一重項(|S>)と三重項(|T>)の間で状態が振動する様子を観測することで、動作確認を行った。この振動は、ST量子ビットの位相の時間発展を表す。

スピン1/2量子ビット-ST量子ビット間における制御位相の時間発展の図

図3 スピン1/2量子ビット-ST量子ビット間における制御位相の時間発展

スピン1/2量子ビットとの結合により変調された、ST量子ビットの位相の時間発展の様子(上)と測定結果(中)。真ん中の図にある、下から始まる青と上から始まる赤の振動は、それぞれスピン1/2量子ビットが上向き(|↑>)と下向き(|↓>)の場合を表す。
下段では、制御位相の時間発展を示す。制御位相がπとなるとき、制御位相ゲートが実行できる。制御位相の周期は11ナノ秒であることが分かった。制御位相の最初(0ナノ秒の操作時間)に見られるオフセットは、パルスの立ち上がり時間などに起因する。

スピン1/2量子ビット-ST量子ビット間での制御位相ゲートの図

図4 スピン1/2量子ビット-ST量子ビット間での制御位相ゲート

上: 制御位相ゲート実証実験に用いた制御回路。スピン1/2量子ビットを上向き(|↑>)、ST量子ビットを一重項(|S>)に初期化し、次にスピン1/2量子ビットの回転操作を行うことで、重ね合わせ状態を含む任意のスピン1/2量子ビットの状態を用意する。続いて制御位相ゲートを実行することで、スピン1/2量子ビットの下向き成分がST量子ビットの位相と量子もつれ状態となる。最後に各量子ビットを読み出す。
下: 上段のオレンジ色の曲線のデータ(下向きスピン確率)とフィッティング曲線は、スピン1/2量子ビットの回転操作による上向き(|↑>)と下向き(|↓>)の間の状態の振動を表す。この振動は、上記の回路実行後読み出したスピン1/2量子ビットの下向き確率をプロットすることによって得られた。下段の紫色の振動は、同時に測定したST量子ビットの位相で、同様の振動が観測されたことから、スピン1/2量子ビットとST量子ビット間の制御位相ゲートの動作が裏付けられた。また紫色の振動は、ST量子ビット(読み出しに優れる)を用いた、スピン1/2量子ビット(読み出しが課題)の読み出しを実証した結果であり、両方式の量子ビットを組み合わせることで、スピン量子ビットの主要な課題解決が可能であることを示す一例である。

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